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骨立
「骨立〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
骨立の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
く不吉な予感に脅《おびや》かされずにはいられませんでした。しかもあの女権論者は、
骨立った顔に薄化粧をして、絶えず襟を気にしながら、私たちのいる方へ――と云うより....
「筧の話」より 著者:梶井基次郎
うに、眺められた。また径の縁には赤土の露出が雨滴にたたかれて、ちょうど風化作用に
骨立った岩石そっくりの恰好になっているところがあった。その削り立った峰の頂《いた....
「富士」より 著者:岡本かの子
眼の前に見た。河神たちの若い瞳は、陽炎《かげろう》を立てて軟く燃えているが、姿は
骨立って痩せていた。冬はかくて痩せ細り夏に雨を得て肉附くことを繰返しながら、瞳は....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
った。でも、その枕もとには、国民新聞と東京朝日新聞とが置かれてあって、やせこけて
骨立った手が時々それを取り上げて見る。 遼陽の占領が始めて知れた時、かれは限り....
「足迹」より 著者:徳田秋声
しいな。」と、医師は繁三に糺の聴診器を取り寄せさして、叔父の体を見た。 医師は
骨立った叔父の胸をそっちこっち当って見ているうちに、急に首を捻って肺のところをと....
「子猫」より 著者:寺田寅彦
て頭をなでてやると逃げようともしないでおとなしくなでられていた。背中がなんとなく
骨立っていて、あまり光沢のないらしい毛の手ざわりも哀れであった。 娘を片付けて....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
える白檜が、一、二本、継子扱いをされたように、悄然とサルオガセを垂れながら、白く
骨立っている、弱きものにも寄生する更に弱きものがある、顧れば白檜帯は、脚下に圧し....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
は、ぼくぼくして、見るからにかったるい、その上を日覆いを半分卸した馬車は、痩せて
骨立った馬に引かれて、のろのろと歩むかとおもうと、急に憶い出したように、塵をパッ....
「好意」より 著者:豊島与志雄
変りはないさ。」 切り捨てるように云い放って、電燈をまじまじと見守ってる顔の、
骨立った所々に光を受けて、肉の落ちた凹みには、仄暗い影が匐い寄っていた。それを何....
「香奠」より 著者:豊島与志雄
時は、両膝と両手とを揃えて端坐していました。こわい真黒な髪の毛を五分刈にし、額の
骨立った浅黒い顔を挙げ、仕立おろしの久留米絣を着ていました。その着物の――羽織と....
「或る素描」より 著者:豊島与志雄
すればいいんだ。……どうしたらいいんだ。」 荒い髪の毛をもじゃもじゃに乱した、
骨立った額の下から、彼は陰欝な眼付で私を覗き込んで来た。私は何かしら冷りとしたも....
「阿亀」より 著者:豊島与志雄
中間に当るくらいの年配と様子とで、セルの着物を一枚無造作にひっかけた恰好が、肩の
骨立った張り工合から、腰の薄べったい痩せ工合など、呼吸器でも悪そうな風の男で、細....
「秋の幻」より 著者:豊島与志雄
ませんよ。」と彼は云った。 父の死後、母は急に痩せて来た。然しそのために少しも
骨立ちはしなかった。彼女はいくら痩せても、丸くふっくらとしていた。そしてそういう....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
鉄無地の衣裳に利休茶の十徳、小刀を前半に帯び端然と膝に手を置いている。肉体枯れて
骨立っていたがそれがかえって脱俗して見え、云うに云われぬ威厳があった。部屋には老....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
、自然の大画幅に対するの観あり。実に天地の一大パノラマなり。四面の連山はみな奇巌
骨立、幾層なるを知らず。その岩陰は、ことごとく残雪をもって封鎖せらる。しかして遠....