高張[語句情報] » 高張

「高張〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

高張の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
追憶」より 著者:芥川竜之介
令 僕は例の夜学の帰りに本所警察署の前を通った。警察署の前にはいつもと変わり、高張り提灯が一対ともしてあった。僕は妙に思いながら、父や母にそのことを話した。が....
自叙伝」より 著者:大杉栄
いた四角な帽子をかぶった二十人ばかりの学生が、てんでに大きなのぼりみたいな旗だの高張提灯だのを引っかついで、わいわい騒いでいる。 ――「もう遅いぞ。駈足でもし....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
おれは山から木を背負って来た。」 「こう暖かじゃ、篝にも及ぶまいよ。」 「今夜は高張だけにせずか、なし。」 そこへ金兵衛も奥から顔を出して、一緒に妻籠から来る....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ころがなければならない。馬をつなぐ厩がなければならない。消防用の水桶、夜間警備の高張の用意がなければならない。いざと言えば裏口へ抜けられる厳重な後方の設備もなけ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
民を狼狽させた。長州兵の隊長は本陣|高崎弥五平方に陣取ったが、同藩の定紋を印した高張提灯一対を門前にさげさせて、長州藩の兵士たることを証し、なおその弥五平宅で英....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
たから、山三郎も江戸屋半治も我を折って、粥河圖書の様子をみている所へ、ばた/\と高張提灯を先に立てまして駈けて参ったのが江戸屋半五郎、お蘭の手を引いてつか/\と....
露肆」より 著者:泉鏡花
赤行燈は、牛鍋の看板で、一山三銭二銭に鬻ぐ。蜜柑、林檎の水菓子屋が負けじと立てた高張も、人の目に着く手術であろう。 古靴屋の手に靴は穿かぬが、外套を売る女の、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
のう。」 雨は先刻に止んで、黒雲の絶間に月が出ていた。湯の谷の屋根に処々立てた高張の明が射して、眼のあたりは赤く、四方へ黒い布を引いて漲る水は、随処、亀甲形に....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
れついたのと、入交って、門際へどっと駈出す。 夫人も、つい誘われて門へ立った。高張、弓張が門の左右へ、掛渡した酸漿提灯も、燦と光が増したのである。 桶屋の凧....
首頂戴」より 著者:国枝史郎
坊殿御旅館と、墨色鮮かに書いてある。正面一杯に張り廻された、葵御紋の紫地の幕に、高張提燈の火が映じ、荘厳の気を漂わせている。 ヌッと現われた頬髯のある武士。 ....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
品川の一角、高輪の台、海を見下ろした高台に、宏大な屋敷が立っていて、大門の左右に高張り提灯が、二|棹威光を示していた。 その前まで来ると駕籠が止まり、お島が駕....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
というように相成りました。それから昼間売り歩き帰ってまいり、夜分は又門口に大きな高張を立て、筆太に元祖計り炭鹽原多助と記し、轡の紋を附け、店で計り炭を売りますと....
剣侠」より 著者:国枝史郎
仲々去らず、去らせようともせず、奥の座敷の酒宴の席は、涌き立つように賑わってい、高張を二張り門に立てて、砂を敷き盛砂さえした、玄関――さよう猪之松の家は、格子づ....
怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
々と打鳴らす太鼓の音を合図に、暗黒世界は忽ち光明世界に急変するのであった。家々の高張、軒提燈は云うも更なり、四ヶ所の大篝火は天をも焦がすばかりにて、森の鳥類を一....
不在地主」より 著者:小林多喜二
思った。 日が暮れかかると、小作人がボツボツ集ってきた。土間にムシロを敷いて、高張りの提灯を幾つも立てていた。令嬢を見ると、小作人達は坐り直して、丁寧に挨拶し....