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「高燥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

高燥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は底において続いている。その証拠には水の量が三つながら同じである。 富士ハ湖地高燥、本栖湖ニ至テ最高ク、湖面不断ニ光ヲ発シ、水|水銀ヲ湛フガ如シ、とある旅行記....
縮図」より 著者:徳田秋声
事がすんで療養所へ行ったのはもう九時であった。療養所はこの狭い高原地の、もっとも高燥な場所を占めていたが、考えていたよりも建築も儼としており、明るい環境も荒い感....
毛の指環」より 著者:宮本百合子
肱をつき目前の景色に眺め入っていた。樟は香高い木だ。その芳ばしさは如何にも八月の高燥な暑さや澱《よど》みなき日の光と釣り合って、隈なき落付きというような感情を彼....
南路」より 著者:宮本百合子
に、あの愛すべき芸術を産んだのではあるまいか。同じ、炎暑、赤道の近傍でも、土地が高燥だと、人間の精神は殺されないですむように思う自分の考は間違っているだろうか。....
獄中記」より 著者:大杉栄
町よりももう五度高いというほどの、そして夏もそれに相応して冷しい、千葉北方郊外の高燥な好位置に建てられていた。 「あれがみんなの行くところなんだ。」 汽車が千....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
とも彼奴《きゃつ》め、こんなことを云ったよ。『半島にして樹木森々、大地あって土地高燥、これ永生の蝶に適す』とな。アッハッハッハッ何を云うやら」 「昆虫館の持ち主....
C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
に麗わしい髪を吹きなびかせながら哄笑する心の所有者でございます。 広大な地と、高燥な軽い空気は、自ずと住む人間の心を快活に致します。のみならず、婦人に向っても....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
いますから。多分信州の上林へでも行くのでしょう、ここは樹木が多く、木下道があり、高燥で、木賃宿のようなうちの人たちは余り不親切でもありませんから。やっぱり本がよ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ので、全くえらい疲れでした。 途中腰かけられ、五時間ほどして黒磯辺からは空気も高燥になり汽車もすき七時五十何分かにこちらへついたときは、田野の香いが芳しい涼夜....
高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
感じは、登るに従って次第に、高原から山の背のそれへと変ってゆく。 ここに、真に高燥な大気がある。高原だけではいけないのだ。代表的高原たる軽井沢や戦場ヶ原や仙石....
自由人」より 著者:豊島与志雄
天然林のなか、ささやかな溪流に沿わず離れず、ただひそひそと坂道を登った。それから高燥な屋根の小松林の中を、ひたひたと急いだ。最後には、代赭色の火山礫に蔽われた急....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
いたのに比べて、彼らは習性的に(または当時の彼らの科学的考察の結果として)山間の高燥地帯に居を占め、低地の原野を避けるような生活様式を所有しておった。大昔の低地....
新西遊記」より 著者:久生十蘭
部に分れ、外西蔵は日本の内地のほぼ三倍ほどの広さの西北原《チャンリン》といわれる高燥不毛の地で、平均高度一万八千尺、冬は零下四十八度まで下るので空寂たる無住の凍....
日蔭の街」より 著者:松本泰
っていた。 私はこの宿へ来てから一年になる。その前は学校の近くの旅館にいたり、高燥なH街の某軍人の家などにおいて貰っていたが、最後に腰をすえたこの家が一番気に....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
見附けた」といってその模様を話されるところを聞くと、その家は学校へ三丁位、土地が高燥で、至って閑静で、第一水が良い。いかにも彫刻家の住居らしい所という。それは何....