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高鳴る
「高鳴る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
高鳴るの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幸福の感覚」より 著者:宮本百合子
の芸術の秘密は何だろう。すべてのすぐれた文学が、悲劇でさえも、その悲しみのうちに
高鳴る一種微妙な美の感覚をつらぬかせていて、与えられるその感動で人が慰藉されると....
「わたしたちは平和を手離さない」より 著者:宮本百合子
一度も、しんからファシズムに反対して自立たちの力で守りとおした平和というものの、
高鳴るような歓喜とほこりとを経験していない。それだからといって、いや応なく戦争に....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
とか……とそれを思うと空おそろしゅうございます」
お艶の声は泣いていた。互いに
高鳴る血の音に身をゆだねてから……何刻《なんとき》たったろう。
首尾の松が風に....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
鼓)をさしあげます。それはわたしよ。手にとってつよくうてば、その羯鼓はよろこびに
高鳴るでしょう。指にとってやさしくうてば、羯鼓は懐のなかで鳴くように、肌にそって....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
たいして砕け散ったではないか。クリストフは、あたかも身内に海があるように、動脈の
高鳴るのを聞き、一つの声がくり返し言うのを聞いた。 「永遠だ……俺《おれ》は……....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
師がアッと叫び声を立てた。 「おいヴィデ君、ありゃなんだ?」 そうして一同は、
高鳴る胸を押えて、凝視することしばしであった。 飛沫のなかを、消えあるいは点い....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
な運命でしょう。私はその当時の苦しかったこと、楽しかったことを思うと、今でも胸の
高鳴るのを覚えます。 いや、思わずも話が傍道に入りましたが、さて、人工心臓の発....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
もないらしい本丸の林を通って、冴えた音が風に運ばれて来るのであった。 笛。――
高鳴る笛の音。だれだ、ふくのは。 われもなく敵もなく、生死の妄念もまったく滅し....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ら新城の工事場のほうへ吹上の丘づたいに出て、作事場を一巡し、眼に耳に胸にひびいて
高鳴る建設の騒音の中で時をわすれていた。 侍側には、土井、本多、酒井などの閣臣....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
おやすいことでございます」 と、自分の黄楊の櫛を抜いて、弦之丞の側へ寄ったが、
高鳴る血のひびきが、その人の肌へ感じられはしまいかと、左の手で、右の袂と乳の辺を....
「はつ恋」より 著者:神西清
れた。わたしは時々立ち止って、何ものかを待ち受けながら、自分の心臓が早鐘のように
高鳴るのに耳をすました。やがての果てに、わたしは垣根のそばへ行って細い棒ぐいに倚....