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髣
「髣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
髣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ない煙草を吸った。そうしてその煙の中に、ふだんから頭の中に持っている、ある疑問を
髣髴《ほうふつ》した。
それは、道徳家としての彼と芸術家としての彼との間に、い....
「春」より 著者:芥川竜之介
の間になぜか前よりもほのぼのとしていた。彼女は一瞬間心の中に昔の「猿《さる》」を
髣髴《ほうふつ》しながら、曖昧《あいまい》に「そうねえ」を繰《く》り返した。が、....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
フォオムを歩きながら、光沢《こうたく》の美しいシルク・ハットをありありと目の前に
髣髴《ほうふつ》した。シルク・ハットは円筒《えんとう》の胴に土蔵の窓明りを仄《ほ....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
で来た。ああ、毛利先生。今こそ自分は先生を――先生の健気《けなげ》な人格を始めて
髣髴《ほうふつ》し得たような心もちがする。もし生れながらの教育家と云うものがある....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ものだった。
俊助にはこの絢爛《けんらん》たる文句の中に、現在の野村の心もちが
髣髴出来るように感ぜられた。それは初子《はつこ》に対する純粋な愛が遍照《へんしょ....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
していることの出来るものではない。我我の祖先は「神」と言う言葉に衣冠束帯の人物を
髣髴《ほうふつ》していた。しかし我我は同じ言葉に髯《ひげ》の長い西洋人を
髣髴して....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
南田はこう言いながら、かつて見た沙磧図《させきず》や富春巻《ふうしゅんかん》が、
髣髴《ほうふつ》と眼底に浮ぶような気がした。
「さあ、それが見たと言って好《い》....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
というと、必ず自分の記憶には、この雨にぬれている菫の紫が四角な大理石といっしょに
髣髴《ほうふつ》されたものである。これはさらに自分の思い出したくないことであるが....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
端です。さっき二羽の黒い蝶が消えた、例の電柱の根元の所に、大きな人間の眼が一つ、
髣髴《ほうふつ》として浮び出したじゃありませんか。それも睫毛《まつげ》のない、う....
「星座」より 著者:有島武郎
上を一匹の毛虫が匐《は》っていた。そんなことまでが、夏見たままの姿で園の眼の前に
髣髴《ほうふつ》と現われでた。
しかもこれらのあまりといえば変化のなさすぎるよ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
若しそれらを掴むのが不可能のことならば、公平な観察者鑑賞者となって、両極の持味を
髣髴して死のう。 人間として持ち得る最大な特権はこの外にはない。この特権を捨て....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
君の書に採録された英訳や同君の達意の訳詩を参照されれば、より明らかに原詩の面影を
髣髴させることを得られるであろうと思われるのである。 古事記や道徳教やの引用も....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
石炭揚場の間から蹴出しを飜して顕われたんでは、黒雲の中にひらめく風情さ。羅生門に
髣髴だよ。……その竹如意はどうだい。」 「如意がどうした。」 と竹如意を持直す....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
大声でよぶと、おうと答えて、お茶などを用意してギッシギッシ漕いで来る情景は、今も
髣髴と憶い出される。この竹屋の渡しで向島から向う岸に渡ろうとする人の多くは、芝居....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ぽっと染めて、銀河の横たうごとき、一条の雲ならぬ紅の霞が懸る。…… 遠山の桜に
髣髴たる色であるから、花の盛には相違ないが、野山にも、公園にも、数の植わった邸町....