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髭の生えた
「髭の生えた〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
髭の生えたの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
土地にも馬鹿の一人や二人は必ずある」とある人が言った。 貧しい町を通って、黒い
髭の生えた飴屋に逢った。飴屋は高い石垣の下で唐人笛を吹いていた。その辺は停車場に....
「黴」より 著者:徳田秋声
村に言い告げた。 「その時も、あの連中につれられて行ったようですよ。あの中には、
髭の生えた人なんかいるんですもの。それに新ちゃんは乱暴も乱暴なんです。喧嘩ッぱや....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
せすると、――」 「冗談を言っちゃいけない。あれは子供の時こそ愛嬌もありますが、
髭の生えた口から、まかり出でたるは太郎冠者も見る人が冷汗をかきますよ。お母さんだ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
れを感じた、如何にそれが正しい人間の形であるかは知らないがあのフランスの多少|口
髭の生えた美人が、一尺の間近に現れたとしたら、私はその美しさに打たれるより先きに....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
妻になれ、後妻にする、後妻の気でおれ、といけ洒亜々々として、髪を光らしながら、鰌
髭の生えた口で言うのは何事でしょうね。」 「いよいよ発狂だ、人の前で見っともない....
「巴里祭」より 著者:岡本かの子
闇の中に顔を近づけて覗き込みながら言った。さも哀れに堪えないように中年近い女の薄
髭の生えた、厚身の唇が新吉の頬に迫って来たので新吉は顔を避けた。 ――いよ/\も....
「変災序記」より 著者:田中貢太郎
の下へ伴れて往って、煉瓦に腰をかけさせた。 「もう大丈夫だ」 顔の土色をした頬
髭の生えた病人が女の後から簷をおりて来た。それは女の夫らしかった。私はそれから藤....
「露肆」より 著者:泉鏡花
いは附いたもので、お職人親方|手合の、そうしたのは有触れたが、長外套に茶の中折、
髭の生えた立派なのが居る。 辻に黒山を築いた、が北風の通す、寒い背後から藪を押....
「鏡花氏の文章」より 著者:中島敦
に白くなければならぬ。それは、全く、今の私達の眼から見て、時代錯誤に近い世界――
髭の生えた官員様がえらかったり、色々な肩書が法外にものをいったりする世界――なの....
「寄席と芝居と」より 著者:岡本綺堂
瑠璃、浪花節」のビラを懸けるようになった。聴衆もまた高まって、相当の商人も行き、
髭の生えた旦那も行き、黒縮緬の羽織を着た奥さんも行くようになった。そのほかに、明....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
うのイギリス銀行、ロイド・ナショナル・プロヴィンシアル・バンクの支店から出て来た
髭の生えたプラスフォアのイギリス人が日当りの好さそうな卓を選んで席を取った。彼は....
「舞子より須磨へ」より 著者:小川未明
れていた位であるから、平常の海はどんなに静かであろうと疑われた。 隣の室には、
髭の生えた男がいる。其の次の間にも、二三人いたようだ。大きな宿屋は、至って静かだ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
んだえ」 若「外に出来る目途もないけれども、仲の町の井桁伊勢屋から来るお侍の、青
髭の生えた色の白い丈の高いお客は、来て/\来抜くが、わちきは厭やーでなりまへんか....
「雨夜草紙」より 著者:田中貢太郎
て先輩に対していた。油井伯爵を首領に戴いた野党の中の智嚢と云われた木内種盛は、微
髭の生えた口元まで、三十年|前とすこしも変らない精悍な容貌を持っていた。 「しか....
「雨夜続志」より 著者:田中貢太郎
訊こうとしていたところだ」 山田はこう云って食卓越しに眼をやった。三十前後の微
髭の生えた精悍な眼つきをした男が坐っていた。中古になった仙台平の袴の襞が見えてい....