» 髱

「髱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

髱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「旧主人」より 著者:島崎藤村
。思えば私は自然と風俗《なり》をつくりました。ひっつめ鬢《びん》の昔も子供臭く、髱《たぼ》は出し、前髪は幅広にとり、鏡も暇々に眺め、剃刀《かみそり》も内証で触《....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
を知って、ちょっとしまったという様子を見せ、指を旧式な「髷なし」という洋髪の鬢と髱の間へ突込んで、ごしごし掻きながら、しとやかな夫人を取り戻す心の沈静に努める様....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
おります」 「ドンヨリと黄色く濁った眼！」 「おうおう膿が垂れそうだ」 「左の耳髱が千切れている！」 「はい、狼に噛まれたように」 「蜘蛛のような額の痣！」 「....
「黒髪」より 著者:近松秋江
、いつも銀杏がえしに結った房々とした鬢の毛が細おもての両頬をおおうて、長く取った髱が鶴のような頸筋から半襟に被いかぶさっていた。 それは物のいい振りや起居と同....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
か頬にしようか？ 眼につければ眼が潰れる、鼻へ付ければ鼻がもげる、耳へ付ければ耳髱《みみたぼ》が、木の葉のように落ちてしまう！ さあさあさあ、それそれそれ！」 ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
ざ、千年ものだわね、……染ちゃん大分御念入だねなんて、いつもはもっと塗れ、もっと髱を出せと云う女房さんが云うんだもの。どう思ったか知らないけれど、大抵こんがらか....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
らし。」 と顔をそらしながら、若い女房の、犠牲らしいあわれな媚で、わざと濡色の髱を見せる。 「うふふ。」と鳥打帽の頭を竦めて、少し猫背で、水道橋の方へ出向いた....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
と酉刻が鳴ります、朝飯が夕六時でございます。是からお化粧に取り掛ります。すっかり髱や何かを櫛で掻上げて置いて、領白粉を少し濃めに附け、顔白粉を附けてから、濡れた....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
船しようとする土人の両替舟とで、水の見えないほど詰っている。白い袴をはいて頭髪を髱に結んだ長身の男たち。青い海を背に、眼の大きな鳶いろの彼らの顔と、その独木舟と....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
「そりゃア有難いね」 蟠「緑町の口入屋の婆アを頼んで置いたが、髪は奥女中の椎茸髱に結ってな、模様の着物も金襴の帯も或る屋敷から借りて置いた、これ／＼安兵衞、緑....
「雪霊記事」より 著者:泉鏡花
で手をつきました。ああ、うつくしい白い指、結立ての品のいい円髷の、情らしい柔順な髱の耳朶かけて、雪なす項が優しく清らかに俯向いたのです。 生意気に杖を持って立....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
と廻り気も起ころうってものさ」 じっと女の様子を見た。女は顔を上げなかった。耳髱がブルブル顫えていた。色がだんだん紅くなった。バッチリ噛み切る歯音がした。鬢の....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
路であった。冬物が飾り窓に並べられてあった。それを覗いている女があった。寒そうに髱立っていた。巨大な建物の前を過ぎた。明治銀行に相違なかった。地下室へ下りて行く....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
八里へだてた尾道まで行かねばならず、電燈もない北備の山間、小さな町なのだ。大阪で髱の長いのがはやると先ず姉の髱が長くなり、妹たちが之にならい、地方の娘たちの髱が....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
「何《ど》うぞ、旦那様」 「いや、乗るのは、女じゃ」 駕屋は、御殿風のしいたけ髱《たぼ》の深雪と、小藤次とを見較べて 「じゃあ、お腰元様」 と、御辞儀をした....