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「鬚髯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鬚髯の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家に奉公して居たこともあるが、尊名は初めてだと、飛白の筒袖羽織、禿びた薩摩下駄、鬚髯もじゃ/\の彼が風采と、煤竹色の被布を着て痛そうに靴を穿いて居る白粉気も何も....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ありました。彼は多年獄中にあっての蓬々《ぼうぼう》たる頭髪と茫々《ぼうぼう》たる鬚髯《しゅぜん》の間から、大きくはないが爛々《らんらん》と光る眼に物珍らしい色を....
十二支考」より 著者:南方熊楠
るなり、背八十一鱗あり、九々の陽数を具え、その声銅盤を戞《う》つがごとし、口旁に鬚髯あり、頷下に明珠あり、喉下に逆鱗あり、頭上に博山あり、尺水と名づく、尺水なけ....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
の女主人は次第に優に親んで、立派な、気さくな檀那だといって褒めた。当時の優は黒い鬚髯を蓄えていた。かつて黒田伯|清隆に謁した時、座に少女があって、良久しく優の顔....
人間レコード」より 著者:夢野久作
った。 山陽ホテルの駅前街路を見晴らす豪華な一室に、立派な緞子の支那服を着た、鬚髯と眉毛の長い巨漢が坐っていた。白々と肥満した恰好から、切れ目の長い一重瞼まで....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
気候の工合、水蒸気の加減にもよるべく、更には紅塵の多少、地味の如何にも関係すると鬚髯を撫してただ微笑するのみだろう。 酉の市 酉の市は取りの市、掃き米はき込....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
る。織田信長にしては面長《おもなが》な、太閤秀吉としては大柄な、浅井長政にしては鬚髯《しゅぜん》がいかめし過ぎる。 そうだ、桔梗の紋が示している通り、それは加....
紅色ダイヤ」より 著者:小酒井不木
う先方の声は、どこかに聞き覚えたところがありましたが、色眼鏡をかけて顔いっぱいに鬚髯をはやしていましたから、こいつ胡散な奴だと思って捩じ伏せにかかりますと、先方....
髭の謎」より 著者:小酒井不木
生の口髭は立派な漆黒の八の字で、延びるだけ延ばしてありました。顎から頬へかけての鬚髯はありませんが、病気中は剃らなかったと見えて、一分に足らぬ黒い濃い毛が密生し....
岩魚」より 著者:佐藤垢石
ある。あるいは耳の錯覚ではないかと考えたが、それでも後ろを振り見た。見ると頭髪も鬚髯も真っ白な老爺が雪の上を歩いてくる。熊の皮の甚兵衛を着て、もんぺと雪踏をはい....
議会見物」より 著者:佐藤垢石
工大臣でもあろう。 貴田耘平が『産業問題』を提げて演壇へのぼって行った。あごの鬚髯は、随分白くなったが、なかなか元気だ。明治四十三年の晩秋、私が宇都宮へ遊びに....
武士を夷ということの考」より 著者:喜田貞吉
と称し、俘囚の上頭にいると号するなり。これまた俘囚が※紳の家僕たる一例とすべし。鬚髯の長く生いたるいわゆる毛人は、実に郎等としての理想的典型たりき。『今昔物語』....
「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
すると説明した。 言うまでもなく毛人とは蝦夷の事で、東方において殆ど唯一の毛髪鬚髯の濃厚な人種であることからこの名を得たのであった。その存在は早く支那人に知ら....