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鬢櫛
「鬢櫛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬢櫛の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
前半生に面白い話を持て居そうな女だ。負ってあるく荷は十貫目からあると云う。細君が
鬢櫛と鶴子の花簪を買うた。
小間物屋のおかみが帰ると、与右衛門さんが地所を買わ....
「乳房」より 著者:宮本百合子
来た。割合すいていて、毛糸編の羽織みたいなものを着て、くずれた束髪にセルロイドの
鬢櫛《びんぐし》をさした酌婦上りらしい女が口をだらりとあけて三白眼をしながら懐手....
「伸子」より 著者:宮本百合子
て話す時には、定って軽侮や恩恵の意識のまじった、特別な調子ができた。彼女は、今も
鬢櫛《びんぐし》で、濡れた後《おく》れ毛をかきあげながら云った。 「まあいずれに....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
縞の袷を素で着て、頭は達磨返と云う結び髪に、*平との金簪を差し、斑紋の斑の切れた
鬢櫛を横の方へ差し、年齢は廿一でクッキリと灰汁抜の為た美い女で、 たき「何うした....
「多神教」より 著者:泉鏡花
添い身を屈め、神前を差覗く)蘆毛よ、先へ立てよ。貴女様み気色に触る時は、矢の如く
鬢櫛をお投げ遊ばし、片目をお潰し遊ばすが神罰と承る。恐れ恐れ。(手綱を放たれたる....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
には枕が包まれ、布団の綴糸に、待人の紙綟が結ばっていそうだし、取残した簾の目から
鬢櫛が落ちて来そうで、どうやら翠の帳、紅の閨を、無断で通り抜ける気がして肩身が細....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
なんにも買いはしない。 あまつさえお六|櫛を造る店の前では、がらにもなく挿櫛や
鬢櫛を手にとって、仔細にその細工のあとを眺め、ふところから日誌をだして二、三種の....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
月と星明りが、お綱の手元をほのかに見せた。 弦之丞が汲んだアカ柄杓の水に黄楊の
鬢櫛を濡らして、 「あの……」 まぶしそうに、横顔を覗きこんで、 「月代は、こ....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
。 灯を見て起き出し、また風呂に入り、出ると、婆やがもう晩飯の膳。――お島は、
鬢櫛をつかいながら、鏡台にむかっていった。 「市さん、どう。……今夜も飲ける?」....