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鬱
「鬱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
まい》の上にある天主閣《てんしゅかく》を心に描かせた。昼見るといつも天主閣は、蓊
鬱《おううつ》とした松の間に三層《さんぞう》の白壁《しらかべ》を畳みながら、その....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
、芸者らしい女が交《まじ》っている。色の蒼白い、目の沾《うる》んだ、どこか妙な憂
鬱な、――」
「それだけわかっていれば大丈夫だ。目がまわったも怪しいもんだぜ。」....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
あきらめなければならぬ。
「明日《あす》よ、ではさようなら」である。
保吉は憂
鬱を紛《まぎ》らせるために巻煙草《まきたばこ》を一本|啣《くわ》えようとした。が....
「影」より 著者:芥川竜之介
な――」
房子はこう云いかけたまま、彼女自身の言葉に引き入れられたのか、急に憂
鬱《ゆううつ》な眼つきになった。
……電燈を消した二階の寝室には、かすかな香水....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
って、私が再び内地へ帰って見ると、三浦はやはり落ち着き払った、むしろ以前よりは幽
鬱《ゆううつ》らしい人間になっていたと云うだけです。これは私があの新橋《しんばし....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
愉快ではないにしても、不快にはならない筈ではないか? が、自分はどうかすると、憂
鬱の底に沈む事がある。リスポアの市《まち》へ帰りたい、この国を去りたいと思う事が....
「河童」より 著者:芥川竜之介
いねい》に頭を下げ、蒲団《ふとん》のない椅子《いす》を指さすであろう。それから憂
鬱《ゆううつ》な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであろう。最後に、――僕はこ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
なれて以来、ただでさえ浮かない彼女の心は、ややともすると発作的《ほっさてき》な憂
鬱に襲われ易かった。彼女は犬の事ばかりか、未《いまだ》にわからない男の在りかや、....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
。」
田代君は椅子《いす》に腰を下すと、ほとんど物思わしげなとも形容すべき、陰
鬱な眼つきになりながら、私にも卓子《テーブル》の向うの椅子へかけろと云う手真似を....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
鮮かにしていた。僕等の右に連った長沙も白壁や瓦屋根の光っているだけにきのうほど憂
鬱《ゆううつ》には見えなかった。まして柑類《かんるい》の木の茂った、石垣の長い三....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
残っていない。ただ保吉の覚えているのは、いつか彼を襲《おそ》い出した、薄明るい憂
鬱《ゆううつ》ばかりである。彼はパイプから立ち昇る一すじの煙を見守ったまま、しば....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ゆる戯画に充《み》ち満《み》ちている。尤《もっと》もその又戯画の大半は悪魔をも憂
鬱《ゆううつ》にするに違いない。
フロオベル
フロオベルのわたしに教....
「初雪」より 著者:秋田滋
女であった。 良人は彼女をノルマンディーにあるその屋敷へ連れて行った。それは、
鬱蒼と茂った老樹にぐるりを囲まれた、石造りの宏壮な建物だった。正面には、見上げる....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
六円余、また東京へ着して三四ヶ月の分とて三十円、母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる
鬱金木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり。学校の教師朋友などが送別の意を表して....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
日の午後には、彼はこの丘をあんなに楽しげに越えてきたのだった。時刻も彼と同様、陰
鬱だった。はるか下のほうには、タッパン・ジーの水が暗く、ぼんやり、荒寥とひろがり....