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鬱憤
「鬱憤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬱憤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
に傾いて来る自分の心持ちをどうする事もできなかった。それのみならず葉子には自分の
鬱憤《うっぷん》をもらすための対象がぜひ一つ必要になって来た。人でなければ動物、....
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
合に思わぬ邪魔が入って、目的が達し得なかったことを憤った。彼はいかんともしがたい
鬱憤を抑えながら、石工の一人に案内せられて、木小屋のうちへ入った。自分一人になっ....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
「どうして、おれはこう不運なんだろう」 病院の門を出ると、怺《こら》えこらえた
鬱憤《うっぷん》をアスファルトの路面に叩《たた》きつけた月田半平《つきだはんぺい....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
と面倒とを繰り返しているのであろう。どう考えても、怖るべき禍いであった。 その
鬱憤をここに洩らすわけではないが、十番の大通りはひどく路の悪い所である。震災以後....
「沈没男」より 著者:海野十三
ていた。これは、ちょっと英国という国が、癪にさわったのにも原因する。しかし個人の
鬱憤のため、一時にもせよ、原稿のネタを仕入れるべき地元英国を去ったことは、甚だよ....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
身に見せしめ、当時の無念禁ずるあたわず。婦人の意地と、張とのために、勉めて忍びし
鬱憤の、幾十倍の勢をもって今満身の血を炙るにぞ、面は蒼ざめ紅の唇|白歯にくいしば....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
った。 逸作が、他に向っての欲望の表現はくどくめに会って懲りて居る。その悲哀や
鬱憤も交る濃厚な切実な愛情で、逸作とかの女はたった一人の息子を愛して愛して、愛し....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ございますが、私はそれをきいて心から難有いと思いました。私の胸に積り積れる多年の
鬱憤もドウやらその御一言できれいに洗い去られたように思いました。 『斯んなお優し....
「端午節」より 著者:井上紅梅
読ませて金が要るのか」 彼はもう理窟も何も放ったらかしで彼女を校長がわりにして
鬱憤を晴らすつもりでいるらしいから手がつけられない。で、彼女はなんにも言わない。....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
。姉には、このくらい思い切って云わなければ通じないと思ったし、一方つもりつもった
鬱憤が、一時に爆発したのであった。 圭子は、思いがけなくも、自分の弱点を突かれ....
「荘子」より 著者:岡本かの子
上を飛ぶであろう形まで真似てひとつには彼女の心やりとし、人に訴えてかなわぬ願いの
鬱憤を晴すのだった。 「海上に浪が立つ時、その魚は翼をのばして浪の上を一丁も二丁....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
になると、一人も身を楯にしてかれらを擁護するものは無かった。平生から畳まっていた
鬱憤や嫉妬や憎悪が一度に発露して、勝利者は勿論、現在かれらと敗北の運命を倶にした....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
合弟子の、山河内という華族の娘の背を、団扇で煽がせた。婦人じゃ不可ない! その
鬱憤を、なり替って晴そうという、愛吉の火に油を灌いで、大の字|形に寝込ませた。 ....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
計画が心の底に萌していたかも解らぬが、それよりはソンナ空想を燃やして儘にならない
鬱憤を晴らしていたのだろう。公平に見て二葉亭が実行力に乏しいのを軽侮した露西亜の....
「越年」より 著者:岡本かの子
仕業だった。 「あんまりじゃありませんか、あんまりじゃありませんか」 そういう
鬱憤の言葉を繰返し繰返し言い募ることによって、加奈江は激情を弾ませて行って 「あ....