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鬱積
「鬱積〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬱積の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
が馬の背からどすんと重いものを地面に卸《おろ》す音がした。痩馬は荷が軽るくなると
鬱積《うっせき》した怒りを一時にぶちまけるように嘶《いなな》いた。遙かの遠くでそ....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
生当時と同じく、今なお理想を失い、方向を失い、出口を失った状態において、長い間|
鬱積《うっせき》してきたその自身の力を独りで持余《もてあま》しているのである。す....
「鮨」より 著者:岡本かの子
の必死な母親の怒りに対して父親は張合いもなくうす苦く黙笑してばかりいる。家が傾く
鬱積を、こういう夫婦争いで両親は晴らしているのだ、と息子はつくづく味気なく感じた....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
気がするほどであった。 それに引きかえ、実に妾はこの四五日なんとなく肩の凝りが
鬱積したようで、唯に気持がわるくて仕方がなかった。考えてみるのに、それは静枝が来....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
水面とは反対に、暗黒の地下流に注ぐ大きな瀑布が始まっていたのだ。そして、その間に
鬱積していったものが、突如凄じく吹きしく嵐と化して、聖家族の一人一人に血行を停め....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
ら逃れんとする無益な然しながら懸命の身悶えなどを考えると、私は姉夫婦の横死以来、
鬱積して居た悲慣を漸く洩らすことが出来ました。 殊に、毎朝毎朝、今日は死刑の執....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
のだとはいえない安心があった。すなわち、がちゃーんの音を聞く瞬間、光枝の胸の中に
鬱積した不満感といったようなものが、一時的ではあったが、たちまち雲散霧消してしま....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
ない。」 と歯をくいしめてすすり泣きつ。 お貞は幾年来独り思い、独り悩みて、
鬱積せる胸中の煩悶の、その一片をだにかつて洩せしことあらざりしを、いま打明くるこ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
うかと検すように、森の中でかっこうがホルンを吹奏した。 天と地との間には、もう
鬱積がなくなったように、快い風と光とが躍りはじめた。 見事なトサカを持ったレグ....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
かもしれないが、いちがいにそう云い切ってしまうには、あまりに、奔騰的だ、噴油だ。
鬱積しているものが悶え出ようとしているのか。 (ふむ、よくあることだ。よく、青葉....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
、不気味な表象だった。 夷岐戸島の秘密、クイロスの絵画、里虹の生死――と次々に
鬱積していったものが、いつとなく土台の底深くを、じりじりと蝕んでいて、やがては思....
「いわゆる「反省」は我々を救うか」より 著者:岸田国士
てそれぞれ学課の予習復習をしなければならぬ時間であつたが、私の少年の胸にかねがね
鬱積していた疑問の爆発する機会が来た。 もともとこの自習時間は、いわゆる勉強家....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
来て来る。 芝居の正義というのは道徳的な本道の正義でなくともよいので、何にしても
鬱積した気持ちを打ち払う様な華々しいものが、正義になるのである。今までおとなしい....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
がいいよ。タ、タ、タ、タ、タラッタラー。 口で調子を取りながら、ジョーンは何か
鬱積した心中を晴らしたい気持から、両手を腰に置いて、脚を少し折り曲げ、弾みのつく....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
かしその不安にはまた不思議に情熱の籠ったものがあった。籠ったというよりは憤ろしく
鬱積しているという感じだった。慧鶴は強いてそれを押え、富士の姿に向って寺の縁で座....