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鬱陶
「鬱陶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬱陶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
船の底に畳を敷いて大きな川を旅している自分を空想させました。実際こんなときにこそ
鬱陶《うっとう》しい梅雨《つゆ》の響きも面白さを添えるのだと思いました。 四 ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
何処へか出て行ってしまって、どの座敷にも灰吹きを叩く音もきこえなかった。なんだか
鬱陶《うっとう》しいので、次郎左衛門はまた起って障子をあけると、どこかで籠の鶯《....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
花があかく濡れていた。外では稗蒔を売る声がきこえた。 「ああ、きょうも降るかな」
鬱陶しそうに薄暗い空をみあげていると、表の格子をがたぴしと明けて、幸次郎があわた....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
電燈が点かないのだろう。おお、二つ巴の紋だな。大星だか由良之助だかで、鼻を衝く、
鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから奥床しい。」 と....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
ると、却って頭が重くなるとか云って、お嬢様はめったに外へも出ない。たゞ垂れ籠めて
鬱陶しそうに春の日永を暮している。殊に花時の癖で、今年の春も雨が多い。そばに附い....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
いますね。 葛 あの、猪苗代のお姫様がお遊びにおいででございますから。 桔梗 お
鬱陶しかろうと思いまして。それには、申分のございませんお日和でございますし、遠山....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
ある。大して御立腹もあるまいけれども、作がいいだけに、瞬もしたまいそうで、さぞお
鬱陶しかろうと思う。 俥は寂然とした夏草塚の傍に、小さく見えて待っていた。まだ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
いのを、かえって、たよりにして、夜ふけだし、そこへ入って……情ないわけねえ。……
鬱陶しい目金も、マスクも、やっと取って、はばかりの中ですよ。――それで吻として、....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
ねえ。(とまた案ずる。) 早瀬 早く行って来ないかよ。 お蔦 あいよ。そうそう、
鬱陶しいからって、貴方が脱いだ外套をここに置きますよ。夜露がかかる、着た方が可い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ぐらいに思うて、こびりついたでござります。 弁天様の御姿にも、蠅がたかれば、お
鬱陶しい。 通りがかりにただ見ては、草がくれの路と云うても、旱に枯れた、岩の裂....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
を尾けて行かなけりゃならねえ一役ついていたのでございましてね。……乗掛った船だ。
鬱陶しくもお聞きなせえ。」 すっとこ被りで、 襟を敲いて、 「どんつくで出ま....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
うでもなく、さればとて、群り集る蚊の嘴を忍んでまで厭うほどこじれたのでもないが、
鬱陶しさに、余り蚊帳を釣るのを好まず。 ちとやそっとの、ぶんぶんなら、夜具の襟....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
、まだおゆうの名義に電話までがなっていることだ。 ちょうど四年まえ、五月の末の
鬱陶しい雨の朝だった。おゆうの病室になっている洋間のなかで、おゆうは、心臓を刺さ....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
川|端には一軒も無く、唯|蘆荻や楊柳が繁るのみで、それも未だ枯れもやらず、いやに
鬱陶しく陰気なので有った。 此所の渡しというのは、別に渡し守がいるのではなく、....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
から、もぎとりました。中には、片輪の実もあった。まだ、熟さないのは、黄色かった。
鬱陶しい、黒っぽい、あたりの景色が眼にうつりました。そして、揺ぶるたびに、冷たい....