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鬱陶しい
「鬱陶しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬱陶しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
電燈が点かないのだろう。おお、二つ巴の紋だな。大星だか由良之助だかで、鼻を衝く、
鬱陶しい巴の紋も、ここへ来ると、木曾殿の寵愛を思い出させるから奥床しい。」 と....
「古狢」より 著者:泉鏡花
いのを、かえって、たよりにして、夜ふけだし、そこへ入って……情ないわけねえ。……
鬱陶しい目金も、マスクも、やっと取って、はばかりの中ですよ。――それで吻として、....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
多少、商売上、丁寧であった芸者の言葉が妙に荒々しくなってくる。なんや、あんたな、
鬱陶しい顔せんと、早ようガッとあけなはれという。旦那はんは、こらおやじなどいわれ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
、ただ自然に万事を依頼して描いているが故に、間違った処でそれは何かじめじめとした
鬱陶しい平凡な写生画が現れるに過ぎないけれども、この近代の心を発揚したるはずの技....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
っていることが出来る。ところがある時期がくると手を動かしてやっても手毬を見せても
鬱陶しい顔をして見向きもせず、常に屋根に志してうろうろと出て叫び、四、五日も姿を....
「湯島の境内」より 著者:泉鏡花
ねえ。(とまた案ずる。) 早瀬 早く行って来ないかよ。 お蔦 あいよ。そうそう、
鬱陶しいからって、貴方が脱いだ外套をここに置きますよ。夜露がかかる、着た方が可い....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ぐらいに思うて、こびりついたでござります。 弁天様の御姿にも、蠅がたかれば、お
鬱陶しい。 通りがかりにただ見ては、草がくれの路と云うても、旱に枯れた、岩の裂....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
、まだおゆうの名義に電話までがなっていることだ。 ちょうど四年まえ、五月の末の
鬱陶しい雨の朝だった。おゆうの病室になっている洋間のなかで、おゆうは、心臓を刺さ....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
たの不得手なことをやって頂こうというのではありません。多くの生徒に就くことなどが
鬱陶しいなら、生徒に接しなくとも好いのです」 というように岡倉氏は説いていられる....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
でした。結句わたしも、ドロシーダと同じような縞服の女になって行ったのです。そんな
鬱陶しいその日その日が、その先どこまで続くものやら見当もつかなかったのですが、そ....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
お祖母さんをバカにするかもしれないがね。あの時分は夜が明けても、ほんとうに何だか
鬱陶しい厭な気持がしてね、気のせいかもしれないけれど誰の顔を見ても何だかこう……....
「雷嫌いの話」より 著者:橘外男
びしょびしょと、
鬱陶しい雨が降っている。雨垂れの音を聞きながら、私は、このペンを握っているのであ....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
まいか。
ああ、せつない。己はまだこの牢屋に蟄しているのか。
ここは咀われた、
鬱陶しい石壁の穴だ。
可哀らしい空の光も、ここへは濁って、
窓の硝子画を透って通....
「果物の幻想」より 著者:小川未明
から、もぎとりました。中には、片輪の実もあった。まだ、熟さないのは、黄色かった。
鬱陶しい、黒っぽい、あたりの景色が眼にうつりました。そして、揺ぶるたびに、冷たい....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
まる。両崖から崩れ落ちた岩屑や土くれで著しく汚れてはいるが歩くには反て楽である。
鬱陶しい霧や雲はもう遥か後になった池ノ平のあたりをまだ暗く包んでいる、何処かに日....