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鬼哭
「鬼哭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鬼哭の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
がだんだんと高まってきた。ついに二人は、転げこむようにアリシア区の入口を入った。
鬼哭啾々、死屍累々。二人は慄然としてあたりを見廻した。開かぬ扉は奥のほうに二人を....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
には熱涙が潜《ひそ》んでいる。雑談《じょうだん》の底には啾々《しゅうしゅう》たる
鬼哭《きこく》が聞える。とすれば怖と云う惰性を養成した眼をもって門番の諧謔を読む....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
先生、腰が抜けたんじゃアあるまいな。 おいらが手引きを 一 「丹波ア……!」
鬼哭《きこく》を噛むような、左膳の声が。 「汝アこの女――」 と左膳、かたわら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、この町が物騒がしくなったから急いで駈けつけたのだが、なんにしても、あの陣街道は
鬼哭啾々《きこくしゅうしゅう》というところである」 「
鬼哭啾々というのは何です」....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
だ。全部で四百ページ余あるのだから、まだ前途遼遠だ。午後は、ドウィッチェの『神愁
鬼哭』と、早稲田の『日本古代史』とを読んでいる。 八日に「新兵事件」の判決文が....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
有為の士を、再び天日《てんぴ》の下にかえさず呑《の》んでしまった牢屋の所在地だ。
鬼哭啾々《きこくしゅうしゅう》、人の心は、そこの土を踏むだけで傷みに顫《ふる》え....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
まま呼吸をはかりあう。
そのたびに一人ふたり、よろめきさがるもの、地に伏さって
鬼哭《きこく》を噛《か》む者。
飛肉骨片。鉄錆《てつさび》に似た生き血の香が、....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
心に、附近の山野を残党狩りに駈けまわっているし、死屍は、随所に、横たわっていて、
鬼哭啾々といってもよい新戦場である。年端もゆかない小娘が、しかも夜、ただひとり月....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
夜ごと、これを助任川の河原にだして斬りました。ために、富田の浦は血に赤く、河原は
鬼哭啾々として、無残というも愚かなこと、長く、渭之津の城に怪異妖聞やむことを知ら....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
落葉の下にどれほどあることかわからない。正成の心耳には切々とその浮かばれぬものの
鬼哭がわかる。石も草も木も蕭々と物みな哭いているようで、しかもその幽鬼がみな自分....