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「鬼面〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鬼面の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
兄たち」より 著者:太宰治
でも趣味として、むかしフランスに流行したとかいう粋紳士風《プレッシュウ》、または鬼面毒笑風《ビュルレスク》を信奉している様子らしく、むやみやたらに人を軽蔑し、孤....
檸檬」より 著者:梶井基次郎
かな美しい音楽の快速調《アッレグロ》の流れが、見る人を石に化したというゴルゴンの鬼面――的なものを差しつけられて、あんな色彩やあんなヴォリウムに凝《こ》り固まっ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
その場所が、折もよし人も無ければ――でした」 と云い出したのは、一見見え透いた鬼面のようでもあり、また、故意に裏面に潜んでいる棘のような計謀を、露わに曝け出し....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
あつめ》ているのを、法外老人もかの女も気がつかなかった。 深山の巻――福面鬼面―― 白魔 「もうよい。これ、もう、揉まずともよいと申すに。」 ....
石狩川」より 著者:本庄陸男
す?――ほとけは?」 相田清祐はじろりと見おろした。焔《ほのお》に照しだされた鬼面のような小男が、礼もなくさわぎ立てていたからだ。 門田与太郎が提灯を取って....
沈丁花」より 著者:宮本百合子
になって千鶴子を迎えることが出来るだろうか。対等の気持では不可能であった。人世の鬼面に脅かされ心の拠《よ》りどころを失った若い女性に対するはる子の同情を押しひろ....
十二支考」より 著者:南方熊楠
とは今の人に受け取れぬが、『義残後覚《ぎざんこうかく》』七、太郎次てふ大力の男が鬼面を冒《かぶ》り、鳥羽の作り道で行客を脅かし追剥《おいはぎ》するを、松重岩之丞....
文学精神と批判精神」より 著者:宮本百合子
ということにもなった。嘗て純文学の精神の守護であった芸術性はとんぼ返りをうって、鬼面人を脅かす類のものに転化したのである。 以上の瞥見は、私たちに今日、何を教....
「下じき」の問題」より 著者:宮本百合子
るということである。 現代文学の中には、まともに、野暮にくい下って、舶来博学の鬼面に脅かされない日本の批評の精神が立ち上らなければならない時だと思う。 日本....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
私がいくらか人生を生きて来ているということは、こんな際何という仕合わせでしょう。鬼面に脅かされきらずに沮喪の感覚をもってゆけることは、お互の何という仕合わせでし....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
本共でしたから、日本にとって決して意味ない本でもなかったのです。たしかに古い本の鬼面におびやかされすぎたのね。あわれ、その若武者も風車を怪物とや見し。 柿内さ....
青春論」より 著者:坂口安吾
蔵の剣法が現れてきたりすると驚いて腹を立てる人があるかも知れないけれども、別段に鬼面人を驚かそうとする魂胆があるわけでもなく、まして読者を茶化す思いは寸毫といえ....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
さえも微弱に残っているのだ。勿論、巫術などでは、巧な扮飾を施して、それを恐ろしい鬼面に捏っち上げるのだが、現在僕の手に、それを証明する恰好な文献があるのだ。とに....
小説 円朝」より 著者:正岡容
うるさ》いことを並べ立てる手合が少なくなかった。期せずしてそうした人たちもまた、鬼面人を脅かす斬新奇抜な圓朝の演出法を糞っけなしにけなし付けた。一部における圓朝....
二つの松川」より 著者:細井吉造
岩魚《いわな》の姿、みずみずしい大葉柳や楢《なら》、椈《ぶな》の森林、片桐松川の鬼面に脅かされた目には、飯田松川の流れは高雅にすぎたのかもしれないのだ。狩小屋か....