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魃
「魃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
魃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
のに反して、その年は六月の初めから寒気と淫雨《いんう》とが北海道を襲って来た。旱
魃《かんばつ》に饑饉《ききん》なしといい慣わしたのは水田の多い内地の事で、畑ばか....
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
日にいたるまで年々米を取ってきました。ことに湖水の流れるところでありますから、旱
魃《かんばつ》ということを感じたことはございません。実にその兄弟はしあわせの人間....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
しに奥州路にはいった。 二 この年は正月から照りつづいて江戸近国は旱
魃に苦しんだと伝えられているが、白河から北にはその影響もなくて、五月の末には梅雨....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
その以来、龍の再び抜け出さないように、鉄の鎖をもって繋いで置くことにした。旱
魃のときに雨を祈れば、かならず奇特があると伝えられている。 阿弥陀仏 宣....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
人が掘ったものに相違ない。しかしこの井戸が最も深く、水もまた最も清冽で、どんな旱
魃にもかつて涸れたことがないので、この屋敷では清水の井戸といっていた。 その井....
「島原の乱」より 著者:菊池寛
って救うであろうとあるが、今年は正にその時に当る」と流言を放った。丁度この夏は干
魃で烈日雲を照し、島原では深江村を始め時ならぬ桜が開いたりしたから、人民は容易に....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ら耕しても、いくら家畜をみずかっても、自分の所得となるものは、何一ツなかった。旱
魃があった。雲霞のような蝗虫の発生があった。収穫はすべて武器を持った者に取りあげ....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ました。 「警部どの。向うに妙な場所があります」 「妙な場所とは」 「池がこの旱
魃で乾上って沼みたいになりかかっているところがあるんです。その沼へ踏みこもうとい....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
美しき文箱を捧げて、ふらふらと出で来る。 鯰入 遥々と参った。……もっての外の旱
魃なれば、思うたより道中難儀じゃ。(と遥に仰いで)はあ、争われぬ、峰の空に水気が....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
沿い、橋と、坂と、辻の柳、甍の浪の町を抱いた、北陸の都である。 一年、激しい旱
魃のあった真夏の事。 ……と言うとたちまち、天に可恐しき入道雲|湧き、地に水論....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
「ここの勘定だけになさっては」 放二は言葉を探していたが、 「ちょッとの水で旱
魃はどうしようもありません。生活原理を変えなければ。ぼく自身、旱
魃のさなかで考え....
「外米と農民」より 著者:黒島伝治
隣家のS女は、彼女の生れた昨年の旱
魃にも深い貯水池のおかげで例年のように収穫があった村へ、お米の買出しに出かけた。....
「米」より 著者:犬田卯
で学校を休ませ、そして留守居させての、文字どおり一家総動員の田植作業であった。旱
魃を懸念された梅雨期の終りの、二日間打つづけの豪雨のおかげで、完全に干上ろうとし....
「妖怪学」より 著者:井上円了
もしらぬ恋の道かな」の歌を唱うれば、舟待ちすることなしという。 (二一)旱
魃の際、雨を祈る法 その法は、「皇皇上天照臨下土集地之霊神降甘雨庶物群生咸得其....
「神は弱いものを助けた」より 著者:小川未明
歩きました。 十五、六|丁いった谷間に、一つの清水がありました。それが、この旱
魃にも尽きず、滾々としてわき出ていました。これはいい清水を見つけたものだ。これさ....