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魔窟
「魔窟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
魔窟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
死の努力を払った。なにか、陰惨な世界を見たくて、隅田川《すみだがわ》を渡り、或る
魔窟へ出掛けて行ったときなど、私は、その
魔窟の二三丁てまえの小路で、もはや立ちす....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
げ》を、元の島田にしてみたい」位なもので、東京の真中《まんなか》、新橋や赤坂等の
魔窟《まくつ》で、小生意気なハイカラや醜業婦共の歌う下劣極まる唄に比すれば、決し....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
うなものをチョンと頭にのせていた。 「奇人だ。」 「いや、……崖下のあの谷には、
魔窟があると言う。……その種々の意味で。……何しろ十年ばかり前には、暴風雨に崖く....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
官隊から脱れようと焦った。 智恵のない話だが、また左へ折れた。正面に、亀井戸の
魔窟へ抜ける橋が目についた。多分それは栗原橋だろう。しかし生憎とその橋の袂には交....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
いた西ヶ輪の通りというのは、その裏のお小人町と一緒に、主として軍人をお得意とする
魔窟だったのだ。 「そうね。けれど、それじゃあんまり失礼だわ。」 礼ちゃんはま....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
ルチアノ――いまタマニーに風を切るニューヨーク一の大親分。牝鶏フロー、彼の情婦で
魔窟組合の女王、千人の妓と二百の家でもって、年額千二百万ドルをあげるという、大変....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、あの時にそっくりだ。そうだ、しかも八月極暑よ。去んぬる年、一葉女史を、福山町の
魔窟に訪ねたと同じ雑誌社の用向きで、中洲の住居を音信れた事がある。府会議員の邸と....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
らずんば止まぬ。彼は到底清純無垢の境地に安住し得ない。彼の望むところは、お馴染の
魔窟であり、悪習慣である。友は友を呼び、類は類を以て集まるのであるから、施す術が....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
と、マスター。奥のお部屋、ショートタイム、百円で貸してよ」 「一枚ぐらゐの鼻紙で
魔窟の代用品に使はれて堪るものか。すぐ裏にインチキホテルがあるぢやないか」 「シ....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
少し疲れて人間の血と同温である。 彼女の売出しごろには舞台の背景に巴里の場末の
魔窟を使い相手役はジゴロ(パリの遊び女の情人)に扮した俳優を使い彼女自身も赤い肩....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
これが無事通過すればもうしめたもの、今度は飲食店に誘う。この辺からフルスピードで
魔窟に急転直下するのです。すでにここまで転落すれば給与される金ではとうてい足りな....
「水鬼」より 著者:岡本綺堂
しくなる。我慢が仕切れなくなってまた飛び出すと、途中でまた悪い奴に出逢って、暗い
魔窟へ投げ込まれる。そういうことがたび重なって、しまいには兄の方でも尋ねて来ない....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
いうことである。 それで、その男が、どこかの定期的な航路通いではないか――この
魔窟には、そういう噂も立てられていた。 しかし読者諸君は、その稲野谷という一人....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
…きみもよく知っていようが、別して地方劇場の奈落だよ。土地柄でも分る、犬神の巣の
魔窟だと思えば可い。十年人の棲まない妖怪邸の天井裏にも、ちょっとあるまいと思う陰....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
進んで来た。しかるにその進んで来た功を空しくしてここで殺されるのが恐ろしさにあの
魔窟に陥るということは我が本望でない。ただ我が本師釈迦牟尼仏がこれを嘉納ましまし....