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鮮らか
「鮮らか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鮮らかの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
った。温い風に騎って、春はいっさんに駈けつけて来たかのように、すべての植物の芽を
鮮らかに膨らませていた。
「たのもう。物もうす」
背まで泥濘の刎ねを上げている....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
て、駒の裾野の畑道を、もう大股に歩いていた。 片方の耳はひどく冷たいが、今朝は
鮮らかに全姿を見せている駒の頂から落ちてくる風に、足元から払われて行くと、ゆうべ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
声がふと耳に沁む。 ばばは、眼を開いた。 洞窟が見えた。外から射す白い光が、
鮮らかに、荒い土の肌を見せている。 夜明け頃から、雨も風も、はたとやんでいたら....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ていたが、しかし、田楽役者の玉虫色に光る衣裳も、田楽女の白粉顔も、かえって夢幻を
鮮らかにし、われひと共にひとしい時代の抱く哀歓と、それが求める救いの滑稽とを、一....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
た。 かたわらの将はみな流亡の垢とつづれを纏っていたが、尊氏だけは、紅地金襴の
鮮らかなよろい小袖と具足を着ていた。――これは頼尚から彼へ。「父の妙恵入道が、筑....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
、鉢伏など、神戸から須磨明石へかけて、市街の背光をなしている低山群も、山姿すべて
鮮らかである。雨後の朝陽が、市街の山の手から、一ノ谷、内裏跡、戦の浜などまで、手....
「梅ちらほら」より 著者:吉川英治
と血が出る。物事に幼稚な私は、或る折、自分で庭の紅梅の枝を伐り下ろし、樹心までが
鮮らかに紅いのでおどろいた。その晩、何だかいい気もちがしなかった。もし、夢に紅梅を見たらきっと寝汗をかいたろう。....