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「鮮紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鮮紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
の朝の月影は、まだその鱗に消えないのである。 俎板をポンと渡すと、目の下一尺の鮮紅、反を打って飜然と乗る。 とろんこの目には似ず、キラリと出刃を真名箸の構に....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
かった。彼は口腔内にも光があるのを確かめてから、死体を俯向けて、背に現われている鮮紅色の屍斑を目がけ、グサリと小刀の刃を入れた。そして、死体をやや斜めにすると、....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
いたものかも知れない。流転のあとと、栄花の夢、軒は枯骨のごとく朽ちて、牡丹の膚は鮮紅である。 古蓑が案山子になれば、茶店の骸骨も花守をしていよう。煙は立たぬが....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
がったものであります。西瓜は由井正雪の頭だ! と言って、その二つに割られた中身の鮮紅色なるを、この上もなく不祥の色として忌《い》み怖れた時代もあったのであります....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
とか、見立てらるべき山々が、実景に見るそれよりも遥かに嶮山絶壁をなしている上に、鮮紅のヴェールをかけたものであるように思われてならぬ。 そうして見ると、決して....
星女郎」より 著者:泉鏡花
、会心の男が出来て、これはと思うその胸へ、グザと刃を描いて刺す時、膚を当てると、鮮紅の露を絞って、生血の雫が滴点ると言います。 広間の壁には、竹箆で土を削って....
札幌まで」より 著者:寺田寅彦
う名の洋紅色大輪のカンナも美しいが、しかし札幌円山公園の奥の草花園で見た鎗鶏頭の鮮紅色には及ばない。彼地の花の色は降霜に近づくほど次第に冴えて美しくなるそうであ....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
だ、上方が折れ朽ちてる桜の古木の横手、山茶花や木斛や木犀や檜葉などの茂みの中に、鮮紅色と白色との花が群がり咲いている。緑葉の茂みの中に仄見えてるから殊によい。そ....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
ひっぱった。 見る見る、錦子の耳朶《みみたぶ》が、葉鶏頭《はげいとう》のような鮮紅《あかさ》の色になって、躰《からだ》をギュッと縮め、いよいよ俯向《うつむ》い....
地上」より 著者:島田清次郎
けのことはした。秋の陽が緩やかに三人にそそいでいた。植物園の葉鶏頭の燃ゆるような鮮紅色が絶えず三人の目先にちらついていた。 この日の夕方、体操の教師が校舎の外....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
|灰※《カイテキ》、鶴頂草、臙脂菜《エンジサイ》の別名もある。 アカザの葉心は鮮紅色の粉粒を布きすこぶる美麗である。そしてその苗が群集して一処にたくさん生え嫩....
チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
花は口を開いてゆすぶれてい、沢山の蜂のそこに飛んでいるのがありありと見えた。その鮮紅の裡に潜んで、ひたぶるに吸いに吸い、夜の香、また熟したる露に酔いしれているよ....
越後獅子」より 著者:羽志主水
汚れて居るが、之を綺麗に払拭《はら》って視ると、肌の色が、屍体と思われないほど、鮮紅色《あかみ》がかって紅光灼々《つやつや》として居ることだ。 色合の佳い屍体....
名もなき草」より 著者:小川未明
名も知らない草に咲く、一茎の花は、無条件に美しいものである。日の光りに照らされて、鮮紅に、心臓のごとく戦くのを見ても、また微風に吹かれて、羞らうごとく揺らぐのを見....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
う。 何とあの彼ら及び彼女らの髪の濃く眉の濃く髯の濃いことであろう。 紅葵は鮮紅で、蕊が黄で、上向きがちに目を仰いで咲く。根から枝が別れて、そろって延びて、....