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鯉口
「鯉口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鯉口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
近づいていった。この槌の音の主こそ、敵了海に相違あるまいと思った。ひそかに一刀の
鯉口《こいぐち》を湿しながら、息を潜めて寄り添うた。その時、ふと彼は槌の音の間々....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をのぞきながら声をかけた。 「もし、誰かいねえかね」 「はい、はい」 よごれた
鯉口《こいぐち》を着た四十五六の女が奥から出て来たので、半七はずっとはいって直ぐ....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
思ったに違いない。…… 「ええ、これは、お客様、お麁末なことでして。」 と紺の
鯉口に、おなじ幅広の前掛けした、痩せた、色のやや青黒い、陰気だが律儀らしい、まだ....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
は隣室へ立て!」 バラバラと侍臣達は席を立った。 と宗春は刀を取り、ブッツリ
鯉口を指で切った。 ジリジリと進んで睨み付けた。 「唐土渡来とは真赤な偽! こ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
しゃくなげ》の叢が繁っていた。無数に蕾を附けている。蔭へ身を隠した小一郎は、刀の
鯉口をプッツリと、切り、ソロリと抜くと左手を上げ、タラリと下がった片袖の背後《う....
「古狢」より 著者:泉鏡花
、と云って後の方で。……威勢がいい。それでいて、腰の矢立はここのも同じだが、紺の
鯉口に、仲仕とかのするような広い前掛を捲いて、お花見|手拭のように新しいのを頸に....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、 「滅相な。」と帳場を背負って、立塞がる体に腰を掛けた。いや、この時まで、紺の
鯉口に手首を縮めて、案山子のごとく立ったりける。 「はははは、お言葉には及びませ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
含む。 両人は苦笑した。 「ほっこり、暖い、暖い。」 蒸芋の湯気の中に、紺の
鯉口した女房が、ぬっくりと立って呼ぶ。 「おでんや、おでん!」 「饂飩あがんなは....
「露肆」より 著者:泉鏡花
って、いけずな忰が、三徳用大根|皮剥、というのを喚く。 五 その
鯉口の両肱を突張り、手尖を八ツ口へ突込んで、頸を襟へ、もぞもぞと擦附けながら、 ....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
と身を起こし、片膝を立てると居合い腰、大刀の柄へ手を掛けたが、プッツリと切ったは
鯉口である。上半身を前のめりに、肘をワングリと鈎に曲げ、左の足を地面へ敷き、腰を....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
申そう! いかがでござる! いかがでござる!」――で、右手で刀の柄を握り、拇指で
鯉口をグッと切った。抜き打ちに切ろうとする足の踏み方だ、右足を一歩前へ踏み出し、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
れがある、抜いて口からズーッと腹まで! ……」 ヌッと陣十郎は立ち上り、グッと
鯉口を指で切った。 4 古びた畳、煤けた天井、雨もりの跡のある茶色の襖。裏座敷....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
いになんかなるものか」
セセラ笑いを洩らしたが、それでも左手を鍔際へやると軽く
鯉口をくつろげた。
「さてこれからどうしたものだ?」
小首を傾げはしたものの、....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
馬鹿な」 播磨はもう烈火のようになった。彼は床几を蹴倒すように飛び立って、刀の
鯉口を切った。権次も権六も無そりの刀を抜いた。相手も猶予せずに抜き合せた。こうし....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
今日は不漁で代物が少なかったためか、店はもう小魚一匹残らず奇麗に片づいて、浅葱の
鯉口を着た若衆はセッセと盤台を洗っていると、小僧は爼板の上の刺身の屑をペロペロ摘....