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鯨波
「鯨波〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鯨波の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
、紅木大臣を追っかけて来た兵隊が往来一パイになって押し寄せて、一度に鬨《どっ》と
鯨波《ときのこえ》を挙げました。馬は益々驚いて、濃紅姫の死骸を載せた馬車を引いた....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
あった。 武士など自分の甲冑、刀剣を質に置いてやった。勢い戦場には丸腰で、只|
鯨波の声の数だけに加わるような始末である。それも昂じて他人の財産を賭けて、争うに....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
もよく防いだ。次第に浪士側は山の地勢を降り、砥沢口から樋橋の方へ諏訪勢を圧迫し、
鯨波の声を揚げて進んだが、胸壁に拠る諏訪勢が砲火のために撃退せられた。諏訪松本両....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
も同じ血を分けた親子かと思われるほどだ。 「でも、お父さん、千人以上からの百姓が
鯨波の声を揚げて、あの多勢の声が遠く聞こえた時は物すごかったじゃありませんか。わ....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
「真剣勝負!」 サルフィユは、楽屋の入口で舞台を覗《のぞ》いてみた。 満員
鯨波 拍子 …………… 「どうせ金で買われて行く流《ながれ》の身なんですもの....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
ノ……旧の処に居る。ハテなと思た。それよりも更と不思議なは、忽然として万籟死して
鯨波もしなければ、銃声も聞えず、音という音は皆消失せて、唯何やら前面が蒼いと思た....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
、市街や農村に於ける常識的文明観は、そういう気持ちに終始するのである。――ただの
鯨波の声ならば、敵も味方も同じスローガンで結構なわけだ。そこで空疎になった合言葉....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、二|間幅の町の両側で、思いも懸けず、喚! といって、動揺めいた、四五人の小児が
鯨波を揚げる。途端に足を取られた男は、横様にはたと地の上。 「あれ、」という声、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
真下の里で。倶利伽羅を仰ぐと早や、名だたる古戦場の面影が眉に迫って、驚破、松風も
鯨波の声、山の緑も草摺を揺り揃えたる数万の軍兵。伏屋が門の卯の花も、幽霊の鎧らし....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
に当る思ひであつた。 「この草も、木も、屍に生えたものなんだな。四郎よ。強者共の
鯨波の声、馬蹄のひゞき、剣の触れ合ふ音までが、きこえるやうな気がするわい。思へば....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
のだったが、その時、軍船の舵機が物のみごとに破壊された。新しい囚虜を得た、歓呼の
鯨波が、ドッといっせいに挙がる。 おお、魯西亜の軍船アレウート号は、われらが手....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
挙にぱッと幕を取りのけ、黒天鵞絨《くろびろうど》に金糸《きんし》銀糸《ぎんし》で
鯨波《げいは》を刺繍した裃《かみしも》を着た美しい女の口上つかいが鯨の背に乗って....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
達はその周囲を取り巻いていちいち批評を加えるばかりでない。どちらか負けると大いに
鯨波の声を作って笑い立てることがある。その笑いようは、ホホ、ホ、ホホホウと三|切....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
に足る。 五月二十一日(日曜)、雨。午前六時、未明解纜。港外に出ずるに及び、一
鯨波の俄然押し寄せ来たり、食堂の横窓に打ち込み、十余人の貴女、紳士、朝餐最中に頭....
「春心」より 著者:田中貢太郎
ったなあ、俺もあの時、鵜沢連隊長殿と戦死するところだった」 少年の群はその時|
鯨波をあげて右側の路地の中に入って往った。広巳は気が注いた。 「東郷大将は、もう....