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鰊
「鰊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鰊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
入りこんで彼れは骨身を惜まず働いた。雪が解けかかると彼れは岩内《いわない》に出て
鰊場《にしんば》稼《かせ》ぎをした。そして山の雪が解けてしまう頃に、彼れは雪焼け....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
商人《のでんあきんど》もみな休みで、ここの名物になっている鰯《いわし》の天麩羅や
鰊《にしん》の蒲焼の匂いもかぐことはできなかった。秋の深くなるのを早く悲しむ川岸....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
けずに着慣れた学校服を脱ぎ捨てて、君は厚衣を羽織る身になった。明鯛から鱈、鱈から
鰊、
鰊から烏賊というように、四季絶える事のない忙しい漁撈の仕事にたずさわりながら....
「動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
しく吹きつけて来た。男はなおも歩き続けた。幾つかの角を曲って、漁船の波止場に近い
鰊倉庫の横まで来ると、男はやっと立止って、臆病そうに辺りを見廻し、黙って馳け寄っ....
「ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
仔猫を実験に使おうと思った。ぼくは、そっと硝子《ガラス》窓をあけて、喰いのこした
鰊《にしん》を見せた。仔猫は何なく中へ入ってきた。 仔猫が満腹して、椅子の上で....
「名勝地帯」より 著者:黒島伝治
。お屋敷の屋根からとんでくる鳩が麦の畝をホジくった。鳩は麦の種子を食う。金肥えの
鰊粕を食う。鳩を追う。が、人がいなくなると、鳩はまたやって来る。 「くそッ!」 ....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
毛頭思っとらん」 「では何を……。あ、そうそう、カムチャッカでやっとります燻製の
鰊に燻製の鮭は、いかがさまで……」 「それだ。初めから、そういう匂いがしていた。....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
……お支度は、…… 晃 土橋の煮染屋で竹の皮づつみと遣らかす、その方が早手廻だ。
鰊の煮びたし、焼どうふ、可かろう、山沢。 学円 結構じゃ。 晃 事が決れば早いが....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
いる、天井に釣した蕃椒の方が、燈よりは真赤に目に立つてッた、皺びた店で、榾同然の
鰊に、山家|片鄙はお極りの石斑魚の煮浸、衣川で噛しばった武蔵坊弁慶の奥歯のような....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
はからだ。)(お菜漬だけでも、)私もそこへ取着きましたが、きざみ昆布、雁もどき、
鰊、焼豆府……皆、ぷんとむれ臭い。(よした、よした、大餒えに餒えている。この温気....
「イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
を受取りませんでした。 「私ゃたくさん持っています。」 と言いました。 今度は
鰊を買おうと思って、寡婦さんのところへ行って金貨を出すと、 「もうたくさんです。....
「北斗帖」より 著者:違星北斗
と別るる コタンからコタンを巡るも楽しけれ 絵の旅 詩の旅 伝説の旅 暦無くとも
鰊来るのを春とした コタンの昔慕わしきかな 久々で熊がとれたが其の肉を 何年ぶり....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
もある。そのうえ、砂糖づけの李、桃、梨、まるめろの実が、見ごとにいく皿もならび、
鰊の照り焼、鶏の蒸し焼はいわずもがな。ミルクやクリームの鉢もそなわり、今わたしが....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
水産技師の講演放送中でありました。 「みなさん、あの何万粒の数の子の中から孵って
鰊になるのは、ほんの二、三匹に過ぎないということを聴いて驚かれるかも知れません。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
な唇だけを朱紅に染めてから、てっぺんから孔のあいたお釜帽子に、煤いろの襤褸の腐れ
鰊の臭気でも放ちそうなのに、縄帯をだらしなく前結びにして、それも画きちらした髯む....