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「鱗形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鱗形の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
ていた。 今も夢うつつでその事ばかりを考えていた。もう少し涼しくなると、彼女は鱗形《うろこがた》の銀紙を貼り付けた紅《あか》い振袖を着て、芝居で見る清姫《きよ....
日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
につれて、紫陽花《あじさい》の大弁を、累《かさ》ねて打っ違えたような、むくむくと鱗形をした硫煙が、火孔から天に冲《ちゅう》したかとおもうと、山体は渋面をつくって....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
る臭気がきた。そして無気味な真白い、平べったい虱が周章ててゾロゾロと走り出した。鱗形に垢のついた身体全体は、まるで松の幹が転がっているようだった。胸は、肋骨が一....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
服とあって、名代の横山|常徳が当日の供奉警衛に当たった。景蔵に言わせると、当時、鱗形屋の定飛脚から出たものとして諸方に伝わった聞書なるものは必ずしも当日の真相を....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
く漾っていた。 葉子は何か意気な縞柄のお召の中古の羽織に、鈍い青緑と黝い紫との鱗形の銘仙の不断着で、いつもりゅうッげたような心細さを感ずるのだったが、一方また....
今朝の雪」より 著者:宮本百合子
えないこの界隈の道ばたを流れ走ってせせらいだりしている。 粗末なこの貸事務所の鱗形のスレート屋根の上でも、盛んに雪は解けているのだろう。しかし、とき子のいる窓....
一つの芽生」より 著者:宮本百合子
の熱が下らないこと、私が今年の正月から厄《やく》よけのおまじないだからといって、鱗形のついた襦袢《じゅばん》の袖を着せられていること、父が彼の厄年の年末に、突然....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
かりと横に追う。 鯉七。鯉の精。夕顔の蔭より、するすると顕る。黒白鱗の帷子、同じ鱗形の裁着、鰭のごときひらひら足袋。件の竹の小笠に、面を蔽いながら来り、はたとそ....
小鈴」より 著者:宮本百合子
三のお祝にやったらいいだろうと考えながら銀座を歩いた。 私が十九の時母は紅白の鱗形の襦袢の袖を着せた。三十三もやっぱり鱗なのかしら。私の三十三歳の一年などとい....
細木香以」より 著者:森鴎外
とも呼ばれた。姓は源、氏は細木、定紋は柊であるが、店の暖簾には一文字の下に三角の鱗形を染めさせるので、一鱗堂と号し、書を作るときは竜池と署し、俳句を吟じては仙塢....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
者でもその神秘な出現の前に考え込まざるを得なかった。それはよく整い、よく接合し、鱗形《うろこがた》に並び、直線をなし、均斉《きんせい》を保ち、しかも凄惨《せいさ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
して警戒等の目的である。一個小隊ないし一分隊の兵力を距離間隔六百メートルを間して鱗形に配置し、各独立閉鎖堡とする。火力の相互援助協力に依り防禦力を発揮せんとする....