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鱗雲
「鱗雲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鱗雲の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「卵」より 著者:夢野久作
三太郎君は勉強に飽きて裏庭に出ました。 空には一面に白い
鱗雲《うろこぐも》が漂うて、淡い日があたたかく照っておりました。その下に立ち並ぶ....
「鮭の祟」より 著者:田中貢太郎
にして夜の目も寝ずに鮭を獲っていた。 利根川の口に秋風が立って、空には日に日に
鱗雲が流れた。もう鮭の期節が来たのであった。貧しい漁師は裏の網小屋の中にしまって....
「青春」より 著者:宮本百合子
、夏そこへ寝ころんで夕焼けを見ていると、いつしか体が夏草の中から泛んで七色八色の
鱗雲の間をゆるく飛んで行くような気がした。そんな景色と村道の赭土にくっきり車の軌....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
かげに泉はいつから湧いていたのでしょう。白いひる間の雲、色どりの美しい夏の夕方の
鱗雲のかげが、泉の上に落ちました。或る大層月の美しい早春、一人の牧人がその泉に通....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
たくしはいつになってもこの断片的なものを溺愛する。 恐ろしいちからで虚空を押移る
鱗雲、 西から東へ沈黙の颶風が歩む、 進み、躍り、飛ぶ、さあれただ押移る。 そこ....
「けむりを吐かぬ煙突」より 著者:夢野久作
ま暫くの間、茫然と、その煙突の絶頂の避雷針を見上げていた。その避雷針の上を横切る
鱗雲を凝視していたものであった。 しかし、わからないものはイクラ空へ考えてもわ....
「金狼」より 著者:久生十蘭
立ちあがった。那須は、待て、待て、おい待て、といいながら古田の肩に躍りかかった。
鱗雲の間から夕陽が細い縞になって、腐ったような水の面にさしかけている。 溜堀の....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
あった。思ったより楽に登れそうなので喜んだ。寝しなに雨戸の隙間からのぞくと灰色の
鱗雲が空一面に瀰漫して、生ぬるい風が吹いて来る。あまり面白くない天気だ。 明く....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
本『富嶽百景』三巻中には雲を描きしもの尠《すくな》からず殊に初巻快晴の不二の図は
鱗雲《うろこぐも》に似たるものを描きて甚《はなはだ》よし然れどもこの絵本は晩年の....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
の底を覗くように思われた。 私達の心は知らぬ間にそっちの方へ引き込まれていた。
鱗雲が滲み出したように青い空に浮ぶ、之が始まりで今日は色々の
鱗雲が現れた。最初は....