鳥打帽[語句情報] » 鳥打帽

「鳥打帽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鳥打帽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十円札」より 著者:芥川竜之介
ょう》を感じながら、待合室の外に足を止《と》めた物売りの前へ歩み寄った。緑いろの鳥打帽《とりうちぼう》をかぶった、薄い痘痕《あばた》のある物売りはいつもただつま....
」より 著者:芥川竜之介
そう、いつか婆《ばあ》やと長谷《はせ》へ行った時に、私たちの後をついて来た、あの鳥打帽をかぶっている、若い人のような気がするわ。それとも――私の気のせいだったか....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
ノフォンはちょうどこの時に仕合せとぱったり音を絶《た》ってしまった。が、たちまち鳥打帽《とりうちぼう》をかぶった、学生らしい男が一人、白銅《はくどう》を入れに立....
湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
いた。芸者はもう林大嬌の外にも大勢僕等をとり巻いていた。のみならず彼等の後ろには鳥打帽子などをかぶった男も五六人|胡弓《こきゅう》を構えていた。芸者は時々|坐《....
路上」より 著者:芥川竜之介
十九 野村《のむら》が止めるのも聞かず、俊助《しゅんすけ》は鳥打帽にインバネスをひっかけて、彼と一しょに森川町の下宿を出た。幸《さいわい》と....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
た》かった。露柴も、――露柴は土地っ子だから、何も珍らしくはないらしかった。が、鳥打帽《とりうちぼう》を阿弥陀《あみだ》にしたまま、如丹と献酬《けんしゅう》を重....
星座」より 著者:有島武郎
ところに、いつもとかわらない顔つきをしていつもとかわらない着物を着て立っていた。鳥打帽子の袴なしで。そのまわりを白官舎の書生さんをはじめ、十四五人の学生さんたち....
春昼」より 著者:泉鏡花
っていた。よしありげな物語を聞くのに、懐が窮屈だったから、懐中に押込んであった、鳥打帽を引出して、傍に差置いた。 松風が音に立った。が、春の日なれば人よりも軽....
栃の実」より 著者:泉鏡花
むれ際の飯を少しばかり。しくしく下腹の痛む処へ、洪水のあとの乾旱は真にこたえた。鳥打帽の皺びた上へ手拭の頬かむりぐらいでは追着かない、早や十月の声を聞いていたか....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
――おやおや忘れた――鉄無地の旦那に被せる帽子を。……そこで、小僧のを脱がせて、鳥打帽です。 ――覚えていますが、その時、ちゃら金が、ご新姐に、手づくりのお惣....
南地心中」より 著者:泉鏡花
と逆上せるほどな暖かさに、下着さえ襲ねて重し、野暮な縞も隠されず、頬被りがわりの鳥打帽で、朝から見物に出掛けた……この初阪とは、伝え聞く、富士、浅間、大山、筑波....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
二脚へ揉合って乗ると斉しく、肩を組む、頬を合わせる、耳を引張る、真赤な洲浜形に、鳥打帽を押合って騒いでいたから。 戒は顕われ、しつけは見えた。いまその一弾指の....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ら、若い女房の、犠牲らしいあわれな媚で、わざと濡色の髱を見せる。 「うふふ。」と鳥打帽の頭を竦めて、少し猫背で、水道橋の方へ出向いたあとで。…… ....
星女郎」より 著者:泉鏡花
しませんでしたが、その日、広土間の縁の出張りに一人腰を掛けて、力餅を食べていた、鳥打帽を冠って、久留米の絣を着た学生がありました。お心は着かなかったでしょうが、....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
を掛けたほどな屋台を置いて、おお! ここに居る。太神楽が、黒木綿の五紋の着流しで鳥打帽を被った男と、久留米絣にセルの袴を裾長に穿流した男と、頬杖を突合って休んだ....