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鳰
「鳰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鳰の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
た。 四つ(午後十時)ごろに酒の座敷はあけた。六人の客は銘々の相方に誘われて、
鳰《にお》の浮巣をたずねに行ったが、お染の客だけは真っ直ぐに帰った。お染とお雪は....
「古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
したので、皇子は宿禰に向かって、 さあ、おまえ、 振熊に殺されるよりも、
鳰鳥のように、 この湖水にもぐってしまおうよ。 とお歌いになり、二人でざんぶ....
「亮の追憶」より 著者:寺田寅彦
舎や、日奈久温泉、三角港、小天の湯などの小景がある。日奈久の温泉宿で川上眉山著「
鳰の浮巣」というのを読んだ事などがスケッチの絵からわかる。浴場の絵には女の裸体が....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
螽であった。 一つ、別に、この畷を挟んで、大なる潟が湧いたように、刈田を沈め、
鳰を浮かせたのは一昨日の夜の暴風雨の余残と聞いた。蘆の穂に、橋がかかると渡ったの....
「細木香以」より 著者:森鴎外
伍(石川甫淳)、余瓶、以白、集雨(玄々真人)以上五人である。 「巣へもどる親まつ
鳰のもろ音哉。香以。」 跋文は香以が自ら草している。その他数人の歌俳及古今体狂....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
者不詳 摂津にて作れる歌である。「しなが鳥」は猪名につづく枕詞で、しなが鳥即ち
鳰鳥が、居並ぶの居と猪とが同音であるから、猪名の枕詞になった。猪名野は摂津、今の....
「最古日本の女性生活の根柢」より 著者:折口信夫
りに、男が出払うた後に、女だけ家に残るという風のあった暗示を含んでいる語である。
鳰鳥の葛飾|早稲を贄すとも、彼愛しきを、外に立てめやも 誰ぞ。此家の戸|押ふる。....
「蜜柑」より 著者:佐左木俊郎
も大方振り落として、黒い枝が奇怪なくねりを大空に拡げていた。柿の樹の下に並んだ稲
鳰の上に、落ち散った柿の葉が、きらきらと月光を照り返している。桐の葉や桑の葉は、....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
。しかも桜のうつくしき趣を詠《よ》み出でたるは 四方《しはう》より花吹き入れて
鳰《にほ》の海 芭蕉 木《こ》のもとに汁も鱠《なます》も桜かな 同 しばらく....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
「もうこれからは、下り道だから、楽なものだよ。……ああ、湖水が見える」
「あれが
鳰の湖ね。……瀬田はどの辺?」
「あっち」
と指さして、
「待っているといって....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
むすめの藤夜叉も、近江の衆でございますし」 「そなたもか。そなたの遊女名は」 「
鳰といいまする」 「
鳰ノ君か」 口にした杯を、彼は彼女の唇へ持ってゆきかけた。....