鳴く[語句情報] »
鳴く
「鳴く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鳴くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るほど、そうじゃ。」
「おおかた、この上に寝ておろう。」
「や、上で猫《ねこ》が
鳴くぞ。」
みな、一時にひっそりとなった。その中を、絶え絶えにつづく猪熊《いの....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
やがてそれがまた静かになりますと、突然盗人たちの唯中から、まるで夜鳥《よどり》の
鳴くような、嗄《しわが》れた声が起りました。
「やい、ここなうっそりどもめ。まだ....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
でもない、この麻利耶観音なのです。お栄はそれを見ると同時に、急に※《こおろぎ》の
鳴く声さえしない真夜中の土蔵が怖くなって、思わず祖母の膝へ縋《すが》りついたまま....
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
い》との茂る濠《ほり》を見おろして、かすかな夕日の光にぬらされながら、かいつぶり
鳴く水に寂しい白壁の影を落している、あの天主閣の高い屋根がわらがいつまでも、地に....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
すのを見た。自分は幾度となく、霧の多い十一月の夜《よ》に、暗い水の空を寒むそうに
鳴く、千鳥の声を聞いた。自分の見、自分の聞くすべてのものは、ことごとく、大川に対....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
が、」こう云って、老人は堪《こら》えきれなくなったように、声をあげて笑った。烏が
鳴くような、鋭い、しわがれた声で笑ったのである。「私は、金には不自由をしない人間....
「火事とポチ」より 著者:有島武郎
るようだった。何か大きな声でわめき合う人の声がした。そしてポチの気ちがいのように
鳴く声が。
町の方からは半鐘《はんしょう》も鳴らないし、ポンプも来ない。ぼくは....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
かり、海の水は皆黒い。暗の夜の血の池に落ちたようで、ああ、生きているか……千鳥も
鳴く、私も泣く。……お恥かしゅうござんす。」 と翳す扇の利剣に添えて、水のよう....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
蠢いたが、声のありそうなものは形もなかった。 手を払って、 「ははあ、岡沙魚が
鳴くんだ」 と独りで笑った。 中 虎沙魚、衣沙魚、ダボ沙魚も名....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
、草や木の種子を諸国に撒く。……怪しい鳥のようなものだと、その三味線が、ひとりで
鳴くように熟と視た。 「相談は整いました。」 「それは難有い。」 「きあ、二階へ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
。」 その音、まことに不気味にして、化猫が、抱かれたい、抱かれたい、と天井裏で
鳴くように聞える。坂下の酒屋の小僧なら、そのまま腰を抜かす処を、学海先生、杖の手....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
。しかし霧の上では雲雀が高くさえずっていました。 「どうして雲雀は海の上なんぞで
鳴くんでしょう」 と子どもが聞きました。 「海があんまり緑ですから、雲雀は野原....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
、一|羽ずつ生き物が出て来ました。そして小さな頭をあげて、 「ピーピー。」 と、
鳴くのでした。 「グワッ、グワッってお言い。」 と、母親が教えました。するとみん....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
、彼の興奮した想像力を刺戟した。丘の斜面から聞えてくるウィッパーウィル(原註)の
鳴く声。雨蛙の不吉な声は嵐の前ぶれだ。梟のさびしい声。突然しげみの中でがさがさい....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
た家」も殆ど門並みだった。「椎の木松浦」のあった昔は暫く問わず、「江戸の横網鶯の
鳴く」と北原白秋氏の歌った本所さえ今ではもう「歴史的大川端」に変ってしまったとい....