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「鳴らす〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鳴らすの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
っているうちも、気が気でない。 生憎《あいにく》、空は曇っている。方々の工場で鳴らす汽笛の音《ね》が、鼠色《ねずみいろ》の水蒸気をふるわせたら、それが皆|霧雨....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
に湯を使う音や桶を動かす音がする。それから話し声や唄の声がする。最後に時々番台で鳴らす拍子木の音がする。だから柘榴口《ざくろぐち》の内外《うちそと》は、すべてが....
」より 著者:芥川竜之介
段の上へ参りました。丁度その日は空もほがらかに晴れ渡って、門の風鐸《ふうたく》を鳴らすほどの風さえ吹く気色《けしき》はございませんでしたが、それでも今日《きょう....
卑怯者」より 著者:有島武郎
か言い交していたが、その中の一人が、 「わーるいな、わるいな」 とさも人の非を鳴らすのだという調子で叫びだした。それに続いて、 「わーるいな、わるいな。誰かさ....
外科室」より 著者:泉鏡花
伯爵夫人は寝返りして、横に背《そむ》かんとしたりしが、病める身のままならで、歯を鳴らす音聞こえたり。 ために顔の色の動かざる者は、ただあの医学士一人あるのみ。....
婦系図」より 著者:泉鏡花
でいる。…… 「早瀬の細君はちょうど(二十)と見えるが三だとサ、その年紀で酸漿を鳴らすんだもの、大概素性も知れたもんだ、」と四辺近所は官員の多い、屋敷町の夫人連....
天守物語」より 著者:泉鏡花
、内を覗き、女童の戯るるを視つつ破顔して笑う 朱の盤 かちかちかちかち。 歯を噛鳴らす音をさす。女童等、走り近く時、面を差寄せ、大口|開く。 もおう!(獣の吠ゆ....
絵本の春」より 著者:泉鏡花
うも知れないのである。 そこへ……小路の奥の、森の覆った中から、葉をざわざわと鳴らすばかり、脊の高い、色の真白な、大柄な婦が、横町の湯の帰途と見える、……化粧....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、日が暮れるまでうろつきますわの。 気になるのは小石を合せて、手ん手に四ツ竹を鳴らすように、カイカイカチカチと拍子を取って、唄が段々身に染みますに、皆が家へ散....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
ゃんちきちき面白そうに囃すかと思うと、急に修羅太鼓を摺鉦交り、どどんじゃじゃんと鳴らす。亀井戸寄りの町中で、屋台に山形の段々染、錣頭巾で、いろはを揃えた、義士が....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
間を、毎日のように風が続いた。北も南も吹荒んで、戸障子を煽つ、柱を揺ぶる、屋根を鳴らす、物干棹を刎飛ばす――荒磯や、奥山家、都会離れた国々では、もっとも熊を射た....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
違います。」 と鼻ぐるみ頭を掉って、 「さとからじゃ、ははん。」と、ぽんと鼻を鳴らすような咳払をする。此奴が取澄ましていかにも高慢で、且つ翁寂びる。争われぬの....
南地心中」より 著者:泉鏡花
玉屋町を横筋に渦巻き落ちる。 見よ、見よ、鴉が蔽いかかって、人の目、頭に、嘴を鳴らすを。 お珊に詰寄る世話人は、また不思議にも、蛇が、蛇が、と遁惑うた。その....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
睡気はおいおいと、強くなって来るばかりです。と同時に妙子の耳には、丁度|銅鑼でも鳴らすような、得体の知れない音楽の声が、かすかに伝わり始めました。これはいつでも....
ドモ又の死」より 著者:有島武郎
田たちが来たようだ。早く口を拭え。 花田と青島登場。 花田 (指をぽきんぽきん鳴らす癖がある)おまえたちは始終俺のことを俗物だ俗物だといっていやがったな。若様....