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「鳴る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鳴るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
るとある夜の事である。日が暮れてから急に風が出たと見えて、塔の風鐸《ふうたく》の鳴る音が、うるさいほど枕に通《かよ》って来た。その上、寒さもめっきり加わったので....
彼 第二」より 著者:芥川竜之介
に通訳してくれ給え。――誰でも五銭出す度に僕はきっと十銭出すから、グラノフォンの鳴るのをやめさせてくれって。」 「そんなことは頼まれないよ。第一他人の聞きたがっ....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の晩彼女は長火鉢の前に、ぼんやり頬杖《ほおづえ》をついたなり、鉄瓶《てつびん》の鳴る音に聞き入っていた。玄象道人の占いは、結局何の解釈をも与えてくれないのと同様....
毛利先生」より 著者:芥川竜之介
う》の冒険小説を、勉強し始めたものである。 それから休憩時間の喇叭《らっぱ》が鳴るまで、我《わが》毛利先生はいつもよりさらにしどろもどろになって、憐《あわれ》....
蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
二三歩遅れていた妻は笑い声に僕等へ話しかけた。 「あたしの木履《ぽっくり》の鈴が鳴るでしょう。――」 しかし妻は振り返らずとも、草履《ぞうり》をはいているのに....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
って、頭上の大空へ矢を飛ばせた。彼等の弓の林の中からは、勇ましい弦《ゆんづる》の鳴る音が風のように起ったり止んだりした。そうしてその音の起る度に、矢は無数の蝗《....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
《ひとあし》も出さぬうちに彼女の耳にはいったのは戞々《かつかつ》と蹄《ひづめ》の鳴る音である。常子は青い顔をしたまま、呼びとめる勇気も失ったようにじっと夫の後《....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
か水府のものに相違ないと云っていました。そのせいかお島婆さんは、毎晩二時の時計が鳴ると、裏の縁側から梯子《はしご》伝いに、竪川の中へ身を浸して、ずっぷり頭まで水....
或る女」より 著者:有島武郎
ーべル博士《はかせ》一人《ひとり》は渋い顔をした。そしてある日「お前の楽器は才で鳴るのだ。天才で鳴るのではない」と無愛想《ぶあいそ》にいってのけた。それを聞くと....
三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
彼は林檎を見る度に、モオゼの十戒を思い出したり、油の絵具の調合を考えたり、胃袋の鳴るのを感じたりしていた。 最後に或薄ら寒い朝、ファウストは林檎を見ているうち....
悠々荘」より 著者:芥川竜之介
。……」 T君は階段を上りながら、独言のようにこう言った。 「このベルは今でも鳴るかしら。」 ベルは木蔦の葉の中にわずかに釦をあらわしていた。僕はそのベルの....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
公然と行われるんだと思った。 丁度四時半頃でもあったろう、小蒸汽の汽笛が遠くで鳴るのを聞いた。間違なくセミオン会社所有の小蒸汽の汽笛だ。「来たな」と思うと胸は....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
耳にはいるものは、後の絶壁に生えている、曲りくねった一株の松が、こうこうと夜風に鳴る音だけです。 二人がこの岩の上に来ると、鉄冠子は杜子春を絶壁の下に坐らせて....
初雪」より 著者:秋田滋
のまま椅子のうえに腰をかけた。こうして彼女は時計が一時を打つのを待ち、更に二時が鳴るのを待った。寒かった。体はぶるぶる顫えた。けれども彼女は風邪を引かなかった。....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
いているのを見て、なんどもなんども彼はぞっとしたものだ。自分の足音が凍った地面に鳴る音にびくびくして、いくたびもからだをちぢこまらせた。そして、うしろを見ようも....