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鳴咽
「鳴咽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鳴咽の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
惑を感じた。しかし遂に、彼は女の躯から手を放そうとはしなかった。自分の胸の中で、
鳴咽するその女が、ただもういじらしくて仕方がなかったし、それに、 (うむ、ひょっ....
「火薬船」より 著者:海野十三
えても、虎船長はじめ公室の一同は、その場を石のようにうごかなかった。どこからか、
鳴咽のこえがもれた。するとあっちでもこっちでも、すすりなきのこえが起った。拳でな....
「振動魔」より 著者:海野十三
証拠が、或る所に保管されているのを知らないのねえ」 「ああ、僕は大莫迦者だった」
鳴咽する柿丘の声と、淫らがましい愛撫の言葉をもって慰めはじめた雪子夫人の艶語とを....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
生きている位なら、妾はもう寧そのこと……。」 遣瀬ないように身を悶えて、お熊は
鳴咽の顔をお菊の膝の上に押付けると、夜寒に近い此頃の夜にも奉公人の寝衣はまだ薄い....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ていた。 静子は涙に濡れた蒼ざめた顔をつと上げた。 ともすれば籠み上げて来る
鳴咽を噛みしめながら、腸のちぎれるような声を振り絞って夫に向って、訴えるように、....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
、野口の手を握るだけで精一ぱいであった。なつかしさに、胸がはりさけるようだ。彼は
鳴咽して、数分は言葉もなかった。 「しッかりしなさい」 野口はやさしく彼の肩に....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
じめる。コクリサマを呼ぶ木々彦の声は、病的になり、やがて苦悶をあらわして、まるで
鳴咽するように息苦しく、せつなくなった。全身に苦痛がみちあふれて、身をねじくって....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
の顔はお浜の膝に、お浜の顔は彼の背中に、ふるえながらつっ伏していた。 周囲から
鳴咽の声がくずれるようにきこえ出した。その声の中を、次郎はお浜に抱かれるようにし....
「頸飾り」より 著者:辻潤
じゃないか、あれはお前に大変よく似合よ」 こういうて妻の方を視た。みると彼女は
鳴咽ている。涙が頬を伝って流れている。夫は吃りながら、 「ど、どうした、オイ、ど....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の首に飛びついてきた。彼女は熱で焼けるようになっていた。息子を抱きしめて、絶望の
鳴咽《おえつ》のうちに訴えた。
「発《た》ってはいけません、発ってはいけません。....