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鳶
「鳶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鳶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ん》がこのごろは、どこにいるかと思ってな。」
「用のあるは、いつも娘ばかりさね。
鳶《とび》が鷹《たか》を生んだおかげには。」
猪熊《いのくま》のばばは、いやみ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
も閉口するはずだ。」
馬琴は苦笑しながら、高い空を仰いだ。その空からは、朗かな
鳶《とび》の声が、日の光とともに、雨のごとく落ちて来る。彼は今まで沈んでいた気分....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
浴びて、全く人間と云うよりも、あの智羅永寿《ちらえいじゅ》の眷属《けんぞく》が、
鳶《とび》の翼を法衣《ころも》の下に隠しているのではないかと思うほど、怪しい姿に....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
常談《じょうだん》でしょう。」
粟野さんはかすかに笑い声を洩《も》らした。やや
鳶色《とびいろ》の口髭《くちひげ》のかげにやっと犬歯《けんし》の見えるくらい、遠....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
した。それは始終|涎《よだれ》に濡れた、ちょうど子持ちの乳房《ちぶさ》のように、
鳶色《とびいろ》の斑《ぶち》がある鼻づらだった。
「へええ、して見ると鼻の赭《あ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
。
「この三角洲《さんかくす》は橘洲《きっしゅう》と言ってね。………」
「ああ、
鳶《とび》が鳴いている。」
「
鳶が?………うん、
鳶も沢山いる。そら、いつか張継尭....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
青い油のような川の水と、吐息《といき》のような、おぼつかない汽笛の音と、石炭船の
鳶色《とびいろ》の三角帆と、――すべてやみがたい哀愁をよび起すこれらの川のながめ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
l'art と、細い朱文字《しゅもじ》で入れた銘があった。目次を見ると、藤沢の「
鳶色《とびいろ》の薔薇《ばら》」と云う抒情詩的の戯曲を筆頭に、近藤のロップス論と....
「死後」より 著者:芥川竜之介
ない気になり、あとも見ずに書斎へはいって行った。すると書斎の鴨居《かもい》の上に
鳶口《とびぐち》が一梃《いっちょう》かかっていた。
鳶口は柄《え》を黒と朱との漆《....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
本、自分が手をとって習わせた難波津《なにわづ》の歌、それから、自分が尾をつけた紙
鳶《いかのぼり》――そう云う物も、まざまざと、自分の記憶に残っている。……
そ....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
はない。しかし僕は同氏の文章にいまだに愛惜を感じている。ことに東京の空を罩める「
鳶色の靄」などという言葉に。 三七 日本海海戦 僕らは皆日本海海戦の....
「橋」より 著者:池谷信三郎
離した。鳩は一遍グルリと空に環を描き、今度はきゅうに南の方へ向って、糸の切れた紙
鳶のように飛んで行った。 シイカは蓋を開けられた鳥籠を見た。彼女の春がそこから....
「凧の話」より 著者:淡島寒月
違おうから、考え出すままにいろいろな事を話して見よう。 凧の種類には扇、袢纏、
鳶、蝉、あんどん、奴、三番叟、ぶか、烏、すが凧などがあって、主に細工物で、扇の形....
「墓」より 著者:秋田滋
っても附けさせなかったクールバタイユは、そこで、やおら立ち上った。背丈のたかい、
鳶色の頭髪をした好男子で、いかにも実直そうな顔をしており、その顔立ちにはどことな....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ざれども、手繰るに従いて、徐々相近づくにぞ、手を濡らしつつ、風強き日の、十枚紙|
鳶など手繰る如く、漸く引き寄す。 思の外、容易に近づくか知らと、喜ぶ時、船前五....