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「鴨居〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

鴨居の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
死後」より 著者:芥川竜之介
はじっとしてはいられない気になり、あとも見ずに書斎へはいって行った。すると書斎の鴨居《かもい》の上に鳶口《とびぐち》が一梃《いっちょう》かかっていた。鳶口は柄《....
星座」より 著者:有島武郎
に書物包みをくるみ始めた。森村は見向きもせずに前どおりな無表情な顔を眼の前の窓の鴨居《かもい》あたりに向けたままで、 「これからまたどこかに行くんか」 とぼん....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
かった。 雨ぐらいの用意はしている。駅前の俥は便らないで、洋傘で寂しく凌いで、鴨居の暗い檐づたいに、石ころ路を辿りながら、度胸は据えたぞ。――持って来い、蕎麦....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、ひょっと一目見たら、吃驚しますぜ。 魔物もやっぱり、蛇や蜘蛛なんぞのように、鴨居から柱を伝って入って来ると見えますな。) (可厭ですね。) 婦人は二人、颯....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
首……鬼女や滝夜叉の首……こんな物が順ぐりに、あお向けに寝て覚めている室の周囲の鴨居のあたりをめぐって、吐く息さえも苦しくまた頼もしかった時だ――「鬼よ、羅刹よ....
」より 著者:海野十三
たのが、今は箪笥と同じ高さになった。 ますます縮んでいった。立ち上っても、頭が鴨居の下に来た。椅子に坐ってみても丁度腰の下ろし具合がいい。もうこれで元のように....
未来の地下戦車長」より 著者:海野十三
へ、一郎がいって、ヒューズの取換《とりか》えをやったが、そのとき、うっかりして、鴨居《かもい》へ、頭を、いやというほどぶつけたため、出来た瘤であった。決して、名....
大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
、やはり天井の方からきこえた。 仕切りの扉が、細目にあいた。そして艇長の顔が、鴨居のところから、こっちをのぞいた。 「ああ、艇長。よく、お落ちになりませんでし....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
渡し、 「いかが。」 「これも望む処です。」 つい私は莞爾した。扇子店の真上の鴨居に、当夜の番組が大字で出ている。私が一わたり読み取ったのは、唯今の塀下ではな....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
いて、どうやら饅頭の形した笠を被っているらしい。顔ぞと見る目鼻はないが、その笠は鴨居の上になって、空から畳を瞰下ろすような、惟うに漏る雨の余り侘しさに、笠欲しし....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
るや、 「雑巾々々。」と宙に躍って、蹴返す裳に刎ねた脚は、ここに魅した魔の使が、鴨居を抜けて出るように見えた。 女の袖つけから膝へ湛って、落葉が埋んだような茶....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
道づれなしに心中だけは仕兼ねない、身のまわり。ほうしょの黒の五つ紋(借りもの)を鴨居の釘に剥取られて、大名縞とて、笑わせる、よれよれ銘仙の口綿一枚。素肌の寒さ。....
三枚続」より 著者:泉鏡花
すべて界隈の路地の奥、土蔵の隅、井戸の底、屋根裏、階子の下、三階、額の裏、敷居、鴨居の中までも遠く響いて押拡がって行くに連れて、次第に霧が起り、月がかくれて、ほ....
註文帳」より 著者:泉鏡花
た、真白な頬に鬢の毛の乱れたのまで、判然と見えて、脊がすらりとして、結上げた髪が鴨居にも支えそうなのが、じっと此方を見詰めていたので、五助は小さくなって氷りつい....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
船橋屋も家は新たになったものの、大体は昔に変っていない。僕等は縁台に腰をおろし、鴨居の上にかけ並べた日本アルプスの写真を見ながら、葛餅を一盆ずつ食うことにした。....