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鴫
「鴫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鴫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たき火」より 著者:国木田独歩
さびしく、その姿見えずとみれば、夕闇に白きものはそれなり。あわただしく飛びゆくは
鴫《しぎ》、かの葦間《あしま》よりや立ちけん。 この時、一人の童たちまち叫びて....
「富士」より 著者:岡本かの子
波山で猟れた鹿らしく鹿島の猟で採れた鰒《あわび》、新治《にいばり》の野で猟れた、
鴫《しぎ》、那珂の川でとれたという、蜆貝《しじみがい》。中にははるばる西北の山奥....
「食魔」より 著者:岡本かの子
ら、赤い蟹や大粒の蛤を表に見せていた。ある店では、ショウウィンドーの中に、焼串に
鴫を刺して赤蕪や和蘭芹と一しょに皿に並べてあった。 「どこも、ここも、相変らず月....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
しい水の底から、小石の浮紋が、川のおもてに綾を織っている、川は幾筋にも分れて、川
鴫という鳥が、一、二羽水の面を掠めて飛んでいる、川をざぶざぶ入って行くので、足の....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、がっかりして余計空いた。 百合 何でございますねえ。……お菜も、あの、お好きな
鴫焼をして上げますから、おとなしくしていらっしゃいまし。お腹が空いたって、人が聞....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
ちょうど季節だものでございますから、この潟へ水鳥を撃ちに。」 「ああ、銃猟に――
鴫かい、鴨かい。」 「はあ、
鴫も鴨も居ますんですが、おもに鷭をお撃ちになります。....
「太郎坊」より 著者:幸田露伴
ハ。だがご馳走はこれっきりかナ。」 「オホホ、厭ですネエ、お戯謔なすっては。今|
鴫焼を拵えてあげます。」 と細君は主人が斜ならず機嫌のよいので自分も同じく胸が闊....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
るとおもう。 ○ 春まけて物がなしきにさ夜更けて羽ぶき鳴く
鴫誰が田にか住む 〔巻十九・四一四一〕 大伴家持 天平勝宝二年三月一日、大伴家....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
鬼どもにまじって、ボートのところまで下りて行かれようか? 私を真先に見つけた奴が
鴫の首でもひねるように私をひねり殺しはしないだろうか? 私が姿を見せないそのこと....
「博物誌」より 著者:岸田国士
夜が地面から這い上がって来て、次第に私たちを包んだ。林の中の狭い空地で、父は
鴫の来るのを待っていたのである。 そばに立っている私も、やっと父の顔だけがはっ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
背後の若い武士が叫んだ。 「我々兄妹はこの家の者、榊原家の家臣でござって、拙者は
鴫澤主水と申し、妹儀は澄江と申す。それなる男はいささかの縁辺、最近我が家の寄宿者....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
んで?」こう訊いたのは金ちゃんである。醜男で小兵で敏捷らしい。
「へい、私の名は
鴫丸というんで」こう答えたのは片耳のない、大兵だが魯鈍らしい男であった。年|格好....
「昔のことなど」より 著者:上村松園
覚えていますのは、四回博覧会に出た三尺幅くらいの堅物「松間繊月」、「秋夕」という
鴫立沢の西行の絵、芭蕉に連翹などあしらわれた処に鼬の走っている「廃園春色」、樹蔭....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
が私には頭からわかりませぬ、仕事といえば馬鹿丁寧で捗びは一向つきはせず、柱一本|
鴫居一ツで嘘をいえば鉋を三度も礪ぐような緩慢な奴、何を一ツ頼んでも間に合った例が....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
空を鴎が幾むれも翔った。 ひろいひろい大うねりの黒い波間には、小さな鴨ほどの海
鴫が揺られ揺られて浮いたり沈んだり、辷ったり、落ちたりしている影も見た。何という....