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鶫
「鶫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鶫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
厚焼の玉子に、椀が真白な半ぺんの葛かけ。皿についたのは、このあたりで佳品と聞く、
鶫を、何と、頭を猪口に、股をふっくり、胸を開いて、五羽、ほとんど丸焼にして芳しく....
「食魔」より 著者:岡本かの子
側になって取り付いている二階建の小さい長屋は、そのくすんだねばねばした感じから、
鶫の腸の塩辛のようにも思う。鼈四郎はわたりの風趣を強いて食味に翻訳して味わうとで....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
刻みが尽きていて、胸の釦に角燈を吊した小男が、門衛小屋から出掛けてきた。一つ二つ
鶫が鳴きはじめ、やがて堡楼の彼方から、美しい歌心の湧き出ずにはいられない、曙がせ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
裾野を歩いて行った。 一所に櫟の林があった。新芽を吹いたばかりであった。そこで
鶫が啼いていた。 一所に小さい沼があった。そこでは鴨が泳いでいた。渡り損なった....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の三十羽ずつは吉左衛門と金兵衛とでもらった。アトリは形もちいさく、骨も柔らかく、
鶫のような小鳥とはわけが違う。それでもなかなか食いではあったが、二人とも腹もはら....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
腐の露にすることから、いくら山家でも花玉子に鮹ぐらいは皿に盛り、それに木曾名物の
鶫の二羽も焼いて出すことまで、その辺は清助も心得たものだ。お民のそばにいる二人の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
遠く見えるところまで出られない。秋深く木の実の熟するころにでもなると、幾百幾千の
鶫、※子鳥、深山鳥、その他の小鳥の群れが美濃方面から木曾の森林地帯をさして、夜明....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
遠く離れて、トントントントンと俎を打つのが、ひっそりと聞えて谺する……と御馳走に
鶫をたたくな、とさもしい話だが、四高(金沢)にしばらく居たことがあって、土地の時....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
がある。その音はあまりに高いか、またはあまりに低いかであるのだ。おれは木の頂上に
鶫の群れがいっぱいに止まっているのを見ていると――一本の木ではない、たくさんの木....
「博物誌」より 著者:岸田国士
わけだ。それをこうして空っぽにしとく。万一、僕がその気になったら、たとえば茶色の
鶫とか、ぴょいぴょい跳び回るおめかし屋の鷽とか、そのほかフランス中にいろいろいる....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
そうして彼らの習慣として広場をグルグル廻りながら勇敢な踊りをおどり出した。 赤い
鶫が飛んで行った そっちから敵めが現われた 矢をとばせよ、槍を投げよや 可愛い女....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
て、諸所に立っている森や林へ夕霧が蒼くかかっていた。そうして彼の獲物袋には、鶸、
鶫、※などがはち切れるほどに詰まっていた。 林から野良へ出ようとした時彼は大勢....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
にだんだん、草の種類を見わけるようになった。雀が耳ざわりな音でしか鳴らないのに、
鶫の類が甘美な、心をそそるような声で鳴くこともわかった。 「ある日、寒さにかじか....
「日本料理の基礎観念」より 著者:北大路魯山人
、相当時間が経過して味のよくなるものがあります。けれども小さいもの、鳥でいえば、
鶫とか鶉とか雀とか、魚でなら、いわしとかあじとかいいますものは、獲りたて、または....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
らい多量に焼くうちには何の温みも飛び去ってしまうであろう。 「おい。二十四匹の黒
鶫封じ込まれてパイの中。というマザア・グウスの童謡があるが、この玉子焼きなら三、....