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鹹
「鹹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
鹹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ある。いや、この二つの快不快は全然|相容《あいい》れぬものではない。寧《むし》ろ
鹹水《かんすい》と淡水とのように、一つに融《と》け合《あ》っているものである。現....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
よぶ現世の楽土、そこにユートピアありと信じている未踏の大群峰がある。またそこを、
鹹湖《かんこ》「青海《ココ・ノール》」あたりの蒙古人は Kuso-Bhakato....
「新生」より 著者:島崎藤村
本は最早旅人であるばかりでなく同時に異人であった。あの島国の方に引込んで海の魚が
鹹水《しおみず》の中でも泳いでいれば可《い》いような無意識な気楽さをもって東京の....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
* リオの、軟微風とはブラジル人の自慢――。 棕梠花のにおいと、入江の柔かな
鹹風とがまじった、リオの秋をふく薫風の快よさ。で今、東海岸散歩道の浮カフェーから....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
喰い出したら大きいからね」 築けども築けども湧き水が垣の台を浮かした。県下の半
鹹半淡の入江の洲岸に鼎造はうっかり場所を選定してしまったのであった。その上都会に....
「河明り」より 著者:岡本かの子
つ投げ入れて出した。すると客はだいぶ美味しくなったといった。それほど船乗りの舌は
鹹味に強くなっている。 きょうはいい塩梅に船もそう混まないで、引潮の岸の河底が....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
溜には一点の緑すらもないのだ。昆虫霧で、日中さえ薄暮のように暗い。その下は、ただ
鹹沢の結晶が瘡のようにみえるだけで、旧根樹の枯根がぼうぼうと覆うている。 その....
「わが町」より 著者:織田作之助
あった。 「――なんでも良え。とにかく見合いしなはれ」 「…………」 咽の涙を
鹹からく、君枝はしょんぼり味わった。 「するか、せんか。どっちや。返辞せんかい!....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
々ある。つまんでぬけばすぽっとぬけて、しかも一種の芳しい香を放つ草もある。此辺で
鹹草と云う、丈矮く茎紅ぶとりして、頑固らしく※って居ても、根は案外浅くして、一挙....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
一の字口の少し大なるもきっと締りたるにかえって男らしく、娘にはいかがなれど浮世の
鹹味を嘗めて来た女には好かるべきところある肌合なリ。あたりを片付け鉄瓶に湯も沸ら....
「断片(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
が真に受けているのが可笑しいというのである。そして経文を引用してある中に、海水の
鹹苦な理由を説明する阿含経の文句が挙げてある。ところがその説明が現在の科学の与え....
「マーカス・ショーとレビュー式教育」より 著者:寺田寅彦
た副食物が、色々ごたごたと色取りを取り合せ、動物質植物質、脂肪蛋白|澱粉、甘酸辛
鹹、という風にプログラム的に編成されているが、どれもこれもちょっぴりで、しかもど....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
たい湿っぽい感覚が、私の肺臓にずうんとしみわたりました。逃れるのはいま――私は、
鹹っぽい両|掌に汗を浮かべて、病を装おうと決心しました。それからが、こうして、手....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
中をかい間ぐって、ときおり妙に冷やりとした――まるで咽喉でも痛めそうな、苦ほろい
鹹気が飛んでくるので、その方向から前方を海と感ずるのみであった。 しかし、足も....
「魔味洗心」より 著者:佐藤垢石
後には銚子口から利根川へ遡ってくるのである。それは八月下旬から九月上旬へかけて、
鹹水に別れ淡水に志して、かつてわが生まれた故郷へ旅するのである。 利根川は、佐....