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麓
「麓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
いく子さんに献ず
一
昔、大和《やまと》の国|葛城山《かつらぎやま》の
麓に、髪長彦《かみながひこ》という若い木樵《きこり》が住んでいました。これは顔か....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
* * * *
僕は翌々十八日の午後、折角の譚の勧めに従い、湘江を隔てた嶽
麓《がくろく》へ
麓山寺《ろくざんじ》や愛晩亭を見物に出かけた。
僕等を乗せたモ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
の補備砲台《ほびほうだい》を奪取するために、九十三高地《くじゅうさんこうち》の北
麓《ほくろく》を出発した。
路《みち》は山陰《やまかげ》に沿うていたから、隊形....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
道の冬は空まで逼《せま》っていた。蝦夷富士《えぞふじ》といわれるマッカリヌプリの
麓《ふもと》に続く胆振《いぶり》の大草原を、日本海から内浦湾《うちうらわん》に吹....
「親子」より 著者:有島武郎
らもなくって、すぐに広々とした台地に出た。そこからずっとマッカリヌプリという山の
麓にかけて農場は拡がっているのだ。なだらかに高低のある畑地の向こうにマッカリヌプ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
、救世主のエルサレム入城を記念する寺の鐘が一時に鳴り出した。快活な同じ鐘の音は、
麓の町からも聞こえて来た、牡鶏が村から村に時鳴を啼き交すように。 今日こそは出....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
出した岩の膚が、中空に蒼白く、底に光を帯びて、月を宿していそうに見えた。 その
麓まで見通しの、小橋の彼方は、一面の蘆で、出揃って早や乱れかかった穂が、霧のよう....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
一|挺、紛うべくもない、三味線を結え添えた事である。 話に聞いた――谷を深く、
麓を狭く、山の奥へ入った村里を廻る遍路のような渠等には、小唄|浄瑠璃に心得のある....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
はまた何でしょうと吃驚しましたわ。」 と、寄添いながら、お君も莞爾。 二人は
麓から坂を一ツ、曲ってもう一ツ、それからここの天神の宮を、梢に仰ぐ、石段を三段、....
「橋」より 著者:池谷信三郎
こんでしまったのです。男は無限の憂愁と誠意を黒い衣に包んで、その氷河の尽きる山の
麓の寒村に、小屋を立てて、一生をそこで暮したということです。氷河は一日三尺くらい....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
れ曲って、斜めに外に出るようになって居ります。岩屋の所在地は、相当に高い、岩山の
麓で、山の裾をくり抜いて造ったものでございました。入口に立って四辺を見ると、見渡....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
を止めて、杜子春の方を振り返ると、 「おお、幸、今思い出したが、おれは泰山の南の
麓に一軒の家を持っている。その家を畑ごとお前にやるから、早速行って住まうが好い。....
「初雪」より 著者:秋田滋
眠っているように見えた。そして遥か彼方には、明るい家々が深緑の山肌を、その頂から
麓のあたりまで、はだれ雪のように、斑に点綴しているのが望まれた。 海岸通りにた....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
いは行くことが出来るかも知れぬ。もっとも山には、登って見て初めて好きになるのと、
麓から見た方がいいのとある。私が可愛いと思っている山も、登って見たら存外いやにな....
「活人形」より 著者:泉鏡花
同士討 虐殺 二重の壁 赤城様――得三様 旭 雲の峰は崩れて遠山の
麓に靄薄く、見ゆる限りの野も山も海も夕陽の茜に染みて、遠近の森の梢に並ぶ夥多寺院....