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「麗ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

麗らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
軍用鮫」より 著者:海野十三
ながりの赤蜻蛉が三組四組五組と適当なる空間をすーいすーいと飛んでいるという、げに麗らかなる秋の午さがりであった。 楊《ヤン》博士の垂らしている糸は、べらぼうに....
鹿狩り」より 著者:国木田独歩
が聞こえた。折り折り人の影がかなたの山の背こなたの山の尾に現われては隠れた、日は麗らかに輝き、風はそよそよと吹き、かしこここの小藪が怪しげにざわついた。その度ご....
深夜の電話」より 著者:小酒井不木
ておいてください」 と言いました。 二 冬とはいえ、風がなく、空は麗らかに晴れ渡って、まるで春のような暖かい日でありました。けれども、汽車の窓から....
墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
」、これが私たちの訪問する先なのです。 名古屋駅へ着いたのは午前八時少し前で、麗らかな五月の陽が、かんかんと照っておりました。まず構内のミカド食堂で朝食をすま....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
〕 大伴家持 同じく家持が天平勝宝五年二月二十五日に作ったものである。一首は、麗らかに照らしておる春の光の中に、雲雀が空高くのぼる、独居して、物思うとなく物思....
仮装観桜会」より 著者:佐左木俊郎
、六本の山桜はもう咲きかけていた。麗《うら》らかな懶《ものう》い春であった。その麗らかな自然の中で、相闘っている一方の人間が充分の余裕をもってその対策を考えてい....
地上」より 著者:島田清次郎
最後に米子と市子は一つのお膳を二人で半分半分に使用した。もう十二時近くであった。麗らかに霽れた紺藍の輝く空に太陽の黄金光は、梅雨あがりの光を熱烈に慄えさせていた....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
うである。 ◇ 筆者が十四五歳の頃であったか。 ある春の麗らかな日曜日の朝お稽古に行ったら、稽古が済んでから翁は筆者を机の前に招き寄せて....
田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
ある家が、がたがたと鳴って揺れた。 十三 ようやくにして三月が来た。麗らかに晴れた日が続いた。長く固まり附いていた根雪が溶けて、その雪汁がちょろちょ....
墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
しまったとかで、私が起きた時にはもう、姿も見えませんでした。 さて、五月晴れの麗らかに晴れた青空の下を、馬にも乗らぬ娘二人に案内されて、四頭の逞しい馬のいる馬....
うつり香」より 著者:近松秋江
は窓に凭れて余念もなく遠くの森や屋根を眺めていた。 私はまるで新婚の朝のような麗らかな心持に浸って、にわかに世の中の何もかもが面白いものに思いなされた。 い....
狂乱」より 著者:近松秋江
るのも早かった。旅館の二階の縁側に立って遠くの西山の方を眺めると、ついこの間まで麗らかに秋の光の輝いていたそちらの方の空には、もういつしか、わびしい時雨雲が古綿....
黒髪」より 著者:近松秋江
て、翌朝早く眼を覚ますと、窓の外は野も山も、薄化粧をしたような霜に凍てて、それに麗らかな茜色の朝陽の光が漲り渡っていた。雪の深い関ヶ原を江州の方に出抜けると、平....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
《つく》った派手な振袖の千浪が、高く結い上げた髪も重たげに、立っているのである。麗らかな日で、吹く風も寒くなく、江戸の空には鳶《とび》が舞っていた。 深川やぐ....
坑夫の子」より 著者:葉山嘉樹
なる二人の男の児が、足袋跣足でかけ出した。 仕事の済んでしまった後の工事場は、麗らかな春の日でも淋しいものだ。それが暗い吹雪の夜は、況して荒涼たる景色であった....