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麥
「麥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麥の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浮浪漫語」より 著者:辻潤
リでなければ浮浪の法悦は味わえない。いわば、「身軽片片溪雲影。心朗瑩瑩山月光。馬
麥因縁支命足」というような境地にならなければ駄目らしい。そして、更に「大千沙界一....
「牡丹」より 著者:宮本百合子
懐こいようなところがあった。草を拉《ひし》いで積み重ねた材木に腰かけ、職人達に蕎
麥《そば》を振舞い、自分も食べた。 「まずい蕎
麥だなあ」 「そりゃ市内からいらし....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
とがある。 食物はずいぶんひどい。飯は東京監獄と違って色が白い。東京監獄は挽割
麥だが、こちらは南京米だ。このごろ麦の値が高くなって、南京米の方が安く上るのだそ....
「帝展を観ての感想」より 著者:宮本百合子
いうものが定り、その相場が上ることで画家としての価値をきめられている清方、栖鳳、
麥僊その他の日本画大家連は、この頃の経済的ゆきづまりで彼等の高価な絵を買う人が減....
「クララ」より 著者:林芙美子
ぐらの大合戰だぞと、むつは、風に動く畑や森を見てそんなことを考えました。今夜は蕎
麥の粉を貰って來てやると、母さんが云ったけれど、蕎
麥の粉をかいて、黒砂糖をまぶし....
「亀さん」より 著者:林芙美子
むっくり、むっくり、誰もとおらない田舍みちを、龜さんが荷物を首にくくりつけて旅をしていました。みちの兩側は廣い
麥畑です。
麥畑の上をすずしい風がそよそよと吹いています。「ああ、くたびれた。....
「蛸の如きもの」より 著者:豊島与志雄
の女中が、あの家にいる。切れの長い澄みきった眼で、真黒な瞳をじっと注いでくる。小
麥色の引きしまった頬に、ふさふさした黒髪。南国調だ。パパイヤ、マンゴウ、ドリアン....
「食指談」より 著者:佐藤垢石
一 蕎
麥は、春蕎
麥よりも秋蕎
麥の方が、味香共に豊かであると昔からいわれているが、その理....
「食べもの」より 著者:佐藤垢石
一日一人一合当たりしか食べていなかった。他はその地方の農産物の都合で甘藷や里芋、
麥と馬鈴薯、粟、稗、唐黍といった類の穀物を混食してきたのである。 だから、山麓....
「香魚の讃」より 著者:佐藤垢石
一 緑樹のかげに榻(こしかけ)を寄せて、
麥酒の満をひく時、卓上に香魚の塩焙があったなら涼風おのずから涎の舌に湧くを覚える....
「肌の匂い」より 著者:三好十郎
しになつているようでいて、薄く光つているんです。色は案外に眞白ではありません。小
麥色――いや、小
麥色ほど濃くは無い、つまりクリーム色に非常に薄くしたオークルを混....