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「麦湯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

麦湯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
うやくのことでその人の住《すま》っている所だけを聞き出すことが出来ました。若者は麦湯《むぎゆ》を飲みながら、妹の方を心配そうに見てお辞儀を二、三度して帰って行っ....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
しい灯のあいだを横切って通った。まだ宵ながらそこらには男や女の笑い声がきこえて、麦湯《むぎゆ》の匂いが香ばしかった。不二屋の軒提灯をみると、お絹は火に吸い寄せら....
地中魔」より 著者:海野十三
ら持って来たのか冷々と露の洩れている一升壜の口を開いてコップに移した。冷え切った麦湯! ゴクンゴクンと喉を通って腸までしみわたる。 「ああ、いい気持だ」 と三....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
い女が控えていて、二階にあがった客はそこで新聞をよみ、将棋をさし、ラムネをのみ、麦湯を飲んだりしたのである。それを禁じられたのは無論風俗上の取締りから来たのであ....
田舎教師」より 著者:田山花袋
。勘定は蟇口から銀貨や銅貨をじゃらつかせながら小畑がした。可愛い娘の子が釣銭と蕎麦湯と楊枝とを持って来た。 その日の午後四時過ぎには、清三は行田と羽生の間の田....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
六畳二室板の間ぶっ通しの一間にした。飲むと汗になると知りつゝ、たまりかねて冷たい麦湯を飲む、サイダアを飲む。飲む片端からぼろ/\汗になって流れる。犬のデカもピン....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
居気といえば、朝顔の夏を入谷なる何がしの寺で、態々かけだしをものしての伝道布教、麦湯のふるまいに浮き足になりながらでも聴聞してゆく人の多いは、これも一碗の恩恵に....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
が、少しねえ荷イおろして往かなければなんねえ、貴方おりて下さい、おりて何もねえが麦湯があるから緩くりと休んで、煙草一服吸ってまア些とべい待って居ておくんなんしよ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
人のごとき待遇を与えること、事変を術数のうちに丸め込むこと、理想に渇してる精神に麦湯を割った酒を与うること、あまりみごとな成功を得ないよう注意すること、革命に日....
女難」より 著者:国木田独歩
い窓から響く。間もなく自分の宅に着いた。 三 縁辺に席を与えて、まず麦湯一杯、それから一曲を所望した。自分は尺八のことにはまるで素人であるから、彼が....
次郎物語」より 著者:下村湖人
くり汗ばんで、柿の葉の濃いみどりの陰にあらわだった。 「しかし、少し喉が乾くね。麦湯のひやしたのがあるはずだから、君、とって来てくれないか。」 「はい。」 次....
明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
ていて、二階にあがった客は新聞や雑誌をよみ将棋をさし、ラムネを飲み、菓子をくい、麦湯を飲んだりしていたのであるが、風紀取締りの上から面白くない実例が往々発見され....
申訳」より 著者:永井荷風
コト宛然絃妓ノ酒間ヲ斡旋スルト異ラズ。是ヲ江戸時代ニ就イテ顧レバ水茶屋ノ女ノ如ク麦湯売ノ姐サンノ如ク、又宿屋ノ飯盛ノ如シト言フモ可ナリ。カツフヱーノ婢ハ世人ノ呼....
雑木林の中」より 著者:田中貢太郎
前へ置いて坐った。 「すみませんね」 登はわざと女を見ないように茶碗を執って、麦湯のような微濁りのした冷たい物を口にした。 「横におなりなさいましよ、私一人で....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
清水が無いというのでガッカリしたが、仕方がないと諦めて河の水で間に合せた。下村で麦湯を馳走になりながら、後れた長次郎と金作の来るのを待って、米を買い入れる相談を....