麦稈[語句情報] »
麦稈
「麦稈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麦稈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
事……まだ間に合いますかしら」
と葉子がいいながら階段をのぼると、青年は粗末な
麦稈《むぎわら》帽子をちょっと脱いで、黙ったまま青い切符《きっぷ》を渡した。
「....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
ばいられないほどでした。Mはタオルを頭からかぶってどんどん飛んで行きました。私は
麦稈帽子《むぎわらぼうし》を被《かぶ》った妹の手を引いてあとから駈けました。少し....
「星座」より 著者:有島武郎
た。清逸は膝の上に新井白石の「折焚く柴の記」を載せて読んでいた。年老いた父が今|
麦稈《むぎわら》帽子を釘《くぎ》にひっかけている。十月になっても被りつづけている....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
を着て、ゴムの解《ほつ》れたる深靴《ふかぐつ》を穿《は》き、鍔広《つばびろ》なる
麦稈《むぎわら》帽子を阿弥陀《あみだ》に被《かぶ》りて、踏ん跨《また》ぎたる膝《....
「親子」より 著者:有島武郎
が挙がったということができるものだろうか。 玉蜀黍穀といたどりで周囲を囲って、
麦稈を積み乗せただけの狭い掘立小屋の中には、床も置かないで、ならべた板の上に蓆を....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
ず、とはいえ詮索せぬが華だとそのままにして、ただここへおこしなら繭玉の珍なのと、
麦稈細工の無格好な蛇が赤い舌を出しているのを忘れずに召せとお侑めしておく。 初....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
終ったのである。 自分の実子がある訳ではなく、食うに困る訳でもないのに、後には
麦稈真田などの賃仕事を引受け、僅かばかりの小銭を儲けることを楽みにしたり、すべて....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
でも、まだ時季が早いのに、慌てもののせいか、それとも値段が安いためか、道中の晴の
麦稈帽。これが真新しいので、ざっと、年よりは少く見える、そのかわりどことなく人体....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
のに、銑吉さえ一種の威のあるのを感じた。 「そんでは、旦那。」 白髪の田螺は、
麦稈帽の田螺に、ぼつりと分れる。 二 「――何だ、薙刀というのは、....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、びくびくと動くが見えて、 「蜻蛉だあ。」 「幽霊蜻蛉ですだアい。」 と、冬の
麦稈帽を被った、若いのが声を掛けた。 「蜻蛉なら、幽霊だって。」 お米は、莞爾....
「猫と村正」より 著者:小酒井不木
乗客はすでに東京駅で一ぱいにつまった。私の席のすぐ前の腰掛は、黒い色眼鏡をかけ、
麦稈帽をかぶって、洋服に夏マントを着た四十格好の人によって占領されたが、その顔が....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
毛がもやもやとして、べろ兀の大い円いの。……挫げたって惜くはないわ、薄黒くなった
麦稈帽子を枕にして、黒い洋服でさ。」 「妙な天狗だね。」 「お聞きなさいよ。何と....
「不在地主」より 著者:小林多喜二
た、糸でつないだ眼鏡を、その時だけかけた。 彼が畔道を、赤くなってツバの歪んだ
麦稈帽子をかぶり、心持ち腰を折って、ヒョコヒョコ歩いているのを見ると、吉本管理人....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ある。その広庭を二町ばかり下におりますと、そこに草家葺きのようなものが、竹、木、
麦稈等で建てられて居る。その前に着くと主なるラマは、先の劒のごとくにしてある三角....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の柔かなズボン吊、鼠いろのバンド、独逸製のケースにはいった五、六種の薬剤、爽かな
麦稈帽、ソフトカラアにハンカチーフに絹の靴下。白麻のシャツに青玉まがいのカフス釦....