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麦藁帽子
「麦藁帽子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麦藁帽子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
何分頼む。」――こう云う調子で、啣《くわ》え楊枝《ようじ》のまま与兵衛を出ると、
麦藁帽子《むぎわらぼうし》に梅雨晴の西日をよけて、夏外套の肩を並べながら、ぶらり....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
れの両側に散点する農家の者を幸福《しやわせ》の人々と思った。むろん、この堤の上を
麦藁帽子《むぎわらぼうし》とステッキ一本で散歩する自分たちをも。
七....
「地獄街道」より 著者:海野十三
ついている形ばかりの門と選ぶところがなかった。 「さア、入ってみよう」 辻永は
麦藁帽子をヒョイと取って門衛に挨拶をすると、スタコラ足を早めていった。私も彼の後....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
したり、尻を端折ったりして、足を水に浸しながら余念なく遊び廻っていた。 三つの
麦藁帽子が石の間にあらわれた。師範校の連中だ。 「ちったア釣れましたかネ」と私が....
「指」より 著者:佐左木俊郎
り、擦り合って行った。鼠色の夏外套、鮮緑の錦紗。薄茶のスプリング・コオト。清新な
麦藁帽子。ドルセイの濃厚な香気。そして爽かな夜気が冷え冷えと、濁って沈澱した昼の....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
遠く小さくなる。そのうち君と僕とは全く訣れてしまったのである。手持無沙汰に、あの
麦藁帽子を被って、あのマントとあの袋とを携えて、プラットホームの一隅に四十分もつ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
。……幼稚くたって緋と限りもしないわね。では、やっぱり女の児かしら。それにしては
麦藁帽子……もっともおさげに結ってれば……だけど、そこまでは気が付かない。……」....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
日景は遠村近郊小丘樹林を隈なく照らしている、二人の背はこの夕陽をあびてその傾いた
麦藁帽子とその白い湯衣地とを真ともに照りつけられている。 二人とも余り多く話さ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
主の口と盆の上へ、若干かお鳥目をはずんで、小宮山は紺飛白の単衣、白縮緬の兵児帯、
麦藁帽子、脚絆、草鞋という扮装、荷物を振分にして肩に掛け、既に片影が出来ておりま....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
夏の日私が馬洗川の堤を散歩していると、彼が明笛を吹きながら向こうから歩いて来た。
麦藁帽子をスマートに、リボンで飾って、矢がすりのような浴衣を着て、素足だった。 ....
「決闘」より 著者:神西清
い気持なのだ。男物の生地の粗い繭紬で作った、仕立おろしの寛やかな服を着て、大きな
麦藁帽子をかぶっている。
麦藁帽子の広い縁が両耳のところでぐっと折れ曲がっていると....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
方に廻って見ると、青い栗の毬彙が落ち散って、そこに十二三歳の少年が頭から雫のする
麦藁帽子を被ってションボリとまだ実の入らぬ生栗を喰べている。 秋もやや闌けて、....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
袋を外側にたらしていた。かわいげな乙女たちも、母親同様古風な身なりではあったが、
麦藁帽子をかぶり、きれいなリボンをつけ、あるいはまた白いドレスを着ているあたりは....
「はつ恋」より 著者:神西清
肩にして、急ぎ足でジナイーダが歩いていた。彼女はわたしに気がつくと、立ち止って、
麦藁帽子の縁を押し上げ、ビロウドのような眼でわたしを見上げた。 「そんな高いとこ....
「雑木林の中」より 著者:田中貢太郎
っしょにその場所を捜して歩いた。 そのうちにちょとした雑木林の中で己の冠ていた
麦藁帽子が見つかったので、そのあたりの草の中を捜していると、畳一枚ぐらいの処に草....