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麩
「麩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麩の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
てからも、むかし道中の茶屋|旅籠のような、中庭を行抜けに、土間へ腰を掛けさせる天
麩羅茶漬の店があった。――その坂を下りかかる片側に、坂なりに落込んだ空溝の広いの....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
には、御都合で貴女も出掛けると云うから、珍らしくはないが、また浅間へ行って、豆か
麩を食わしとるですかな。」 「ではもう菅子さんは参りましたね。」 「先刻出たです....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
、お腰元衆、いろいろ知ったは結構だが、近ごろはやる==池の鯉よ、緋鯉よ、早く出て
麩を食え==なぞと、馬鹿にしたようなのはお唄いなさるな、失礼千万、御機嫌を損じよ....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
前とたとえにも言うのが、突落されるように嶮しい石段を下りたドン底の空腹さ。……天
麩羅とも、蕎麦とも、焼芋とも、芬と塩煎餅の香しさがコンガリと鼻を突いて、袋を持っ....
「古狢」より 著者:泉鏡花
が時雨でも誘いそうに、薄暗い店の天井は、輪にかがって、棒にして、揃えて掛けた、車
麩で一杯であった。 「見事なものだ。村芝居の天井に、雨車を仕掛けた形で、妙に陰気....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
唄うのではござりませんか。 当節は、もう学校で、かあかあ鴉が鳴く事の、池の鯉が
麩を食う事の、と間違いのないお前様、ちゃんと理の詰んだ歌を教えさっしゃるに、それ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
掛行燈。 一………………………………坂東よせ鍋 一………………………………尾上天
麩羅 一………………………………大谷おそば 一………………………………市川玉子焼....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
好というのは。」 「当人が何より、いい事、嬉しい事、好な事を引くるめてちょっと金
麩羅にして頬張るんだ。」 その標目の下へ、何よりも先に==待人|来る==と……....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
で退出て、やっと掌の開くを覚えながら、岸に、そのお珊の彳んだのを見たのであった。
麩でも投げたか、奴と二人で、同じ状に洋傘を傾けて、熟と池の面を見入っている。 ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
居ります。お嬢様がお一方、お米さんが附きましてはちょいちょいこの池の緋鯉や目高に
麩を遣りにいらっしゃいますが、ここらの者はみんな姫様々々と申しますよ。 奥様の....
「あのころ」より 著者:上村松園
、冬はお召などを売る店として京都では一流だったそうです。 この貞八が総領息子に
麩屋町六角に質店をひらかせましたが、三年目には蔵の中に品物がいっぱいになったと言....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
人で残った…… (早う、あんたはんの許へ来とうて、来とうてな。) いよいよ、天
麩羅では納まらない。思いついたのが芝居です。 で、本郷に出ているのは、箕原路之....
「遠野の奇聞」より 著者:泉鏡花
と苧をうみいる。狼、のしのしと出でてうかがうに、老いさらぼいたるものなれば、金魚
麩のようにて欲くもあらねど、吠えても嗅いでみても恐れぬが癪に障りて、毎夜のごとく....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
江戸ッ子の、いつも前垂掛けでおいでなさる、活溌な、ふァふァふァ、」と笑って、鯉が
麩を呑んだような口附をする。 ト一人でさえ太刀打のむずかしい段違の対手が、ここ....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
まいと、何処かへ食べに行かないかと誘うと、鳥は浜町の筑紫でなけりゃア喰えんの、天
麩羅は横山町の丸新でなけりゃア駄目だのと、ツイ近所で間に合わすという事が出来なか....