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麻疹
「麻疹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
麻疹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
育たぬものかちょっとでも考えてみてもらいたい。乳母もだんだん年を取って行く身だ。
麻疹《はしか》にかかって定子は毎日毎日ママの名を呼び続けている、その声が葉子の耳....
「芽生」より 著者:島崎藤村
根から動揺《ゆすぶ》られ通しだ。 「ナニ、まだお房が居る」 と私は言って見た。
麻疹《はしか》後、とかくお房は元気が無かった。亡くなった私の母親を思出させるよう....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
になって庄太がぶらりと訪ねて来た。 「親分。申し訳がありません。実は小せえ餓鬼が
麻疹《はしか》をやったもんですから」 「そりゃあいけねえな。軽く済みそうか」 「....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るのです。 さてこれからがお話です。その翌年、即ち文久二年の夏から秋にかけて、
麻疹《はしか》がたいへんに流行しました。いつぞや『かむろ蛇』のお話のときに、安政....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
た。その顔は陰って蒼ざめていた。 「どうしたえ。ひどく顔の色が悪いじゃあねえか。
麻疹《はしか》かえ。はは、そりゃあ冗談だ。なにしろまあここへ掛けねえ」と、幸次郎....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
らえて何処へか駈け落ちをしてしまった。長男は芝浦で泳いでいるうちに沈んだ。次男は
麻疹で命を奪られた。三男は子供のときから手癖が悪いので、おまきの方から追い出して....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
があるんですよ。わっしの近所にどうも変なことが流行り出してね」 「なにが流行る、
麻疹じゃあるめえ」 「そんなことじゃあねえので……」と、庄太はまじめにささやいた....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った。 攘夷の軍用金を口実にして、物持ちの町家をあらし廻るのは此の頃の流行で、
麻疹と浪士は江戸の禁物であった。勿論、そのなかにはほんとうの浪士もあったであろう....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
んは生きていられないよ」 実際、郁太郎は今までよく育ったもので、肉附きはよし、
麻疹《はしか》も軽くて済み、誰が見ても丈夫そうで、他人さえ可愛いらしかったくらい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いぶん危ねえものでございます。危ねえと言ったって、こうなれば、疱瘡《ほうそう》も
麻疹《はしか》も済んだようなものでございますから、生命《いのち》にかかわるような....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
あった。多分明治十九年も押詰まった暮のことであったかと思う。その年ひどく流行した
麻疹に感染して、一応はどうやら癒ったものの、病毒が廻って全身に吹出物を生じた。薬....
「予言」より 著者:久生十蘭
ている。安部は礼をいってフェルナンデスにひきとってもらったが、いくら安部でも、蕁
麻疹だろうか、蚤の痕だろうかなどと、見当ちがいするほど単純でもない。蚤は蚤でも、....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
人生にとって、たいして効用のあるものじゃありませんわ。現象的にいうと、ちょうど、
麻疹《はしか》のようなものよ。どっちみち、いつまでも引きずりまわしているようなも....
「うどんのお化け」より 著者:古川緑波
。何しろ、まぐろが食えないんだから、トロもヅケもない。まぐろを食えば、たちまち蕁
麻疹《ジンマシン》。赤身の魚は一切駄目。すし屋へ行ったって、食えるものと言ったら....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
相手に晩酌の盃を嘗めていたが、今日の妻からの手紙でひどく気が滅入っていた。二女は
麻疹も出たらしかった。彼女は八つになるのだが、私はその時分も冬の寒空を当もなく都....