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黄昏
「黄昏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黄昏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
事ではない。悠々とアビトの裾《すそ》を引いた、鼻の高い紅毛人《こうもうじん》は、
黄昏《たそがれ》の光の漂《ただよ》った、架空《かくう》の月桂《げっけい》や薔薇の....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
げて歩け」と慷慨《こうがい》した、下級官吏らしい人々が、まだ漂《ただよ》っている
黄昏《たそがれ》の光の中に、蹌踉《そうろう》たる歩みを運んで行く。期せずして、同....
「葱」より 著者:芥川竜之介
、薬代の工面《くめん》が出来ない次第ではない。一言にして云えばこの涙は、人間苦の
黄昏《たそがれ》のおぼろめく中に、人間愛の燈火をつつましやかにともしてくれる。あ....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
をつけたのを眺めていた。日の色はもううすれ切って、植込みの竹のかげからは、早くも
黄昏《たそがれ》がひろがろうとするらしい。が、障子の中では、不相変《あいかわらず....
「路上」より 著者:芥川竜之介
僕の木版画は大丈夫だが、君や花房君の油絵は危険だぜ。殊に君の『Utamaro の
黄昏《たそがれ》』に至っちゃ――あなたはあれを御覧になった事がありますか。」
....
「るしへる」より 著者:芥川竜之介
の言を囁きしを。ただ、わが心弱くして、飽くまで夫人を誘《さそ》う事能わず。ただ、
黄昏《こうこん》と共に身辺を去来して、そが珊瑚《さんご》の念珠《こんたつ》と、象....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
話を聞き終ると、素戔嗚《すさのお》は項《うなじ》を反《そ》らせながら、愉快そうに
黄昏《たそがれ》の川を見廻した。
「その高志《こし》の大蛇《おろち》と云うのは、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
心配なのは、今夜逢いに来るお敏の身の上ですから、新蔵はすぐに心をとり直すと、もう
黄昏《たそがれ》の人影が蝙蝠のようにちらほらする回向院前の往来を、側目もふらずま....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
かりの――山国で――石のごつごつした狭い小路が、霞みながら一条煙のように、ぼっと
黄昏れて行く。 弥生の末から、ちっとずつの遅速はあっても、花は一時に咲くので、....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
て、汐入町を土手へ出て、永代へ引っ返したことがある。それも秋で、土手を通ったのは
黄昏時、果てしのない一面の蘆原は、ただ見る水のない雲で、対方は雲のない海である。....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ら、すかりと握拳の手を抜くと斉しく、列車の内へすっくと立って、日に焼けた面は瓦の
黄昏るるごとく色を変えながら、決然たる態度で、同室の御婦人、紳士の方々、と室内に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
原、花野を照らす月ながら、さっと、むら雨に濡色の、二人が水の滴りそうな、光氏と、
黄昏と、玉なす桔梗、黒髪の女郎花の、簾で抱合う、道行姿の極彩色。 「永洗ですね、....
「橋」より 著者:池谷信三郎
群が新聞社の上空を散歩していた。煙が低く空を這って、生活の流れの上に溶けていた。
黄昏が街の灯火に光りを添えながら、露路の末まで浸みて行った。 雪解けの日の夕暮....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
た。そのあいだに、イカバッドはあの大きなエルムの木の下の泉のほとりや、あるいは、
黄昏のなかをぶらぶら散歩しながら、娘を口説くのだった。この時刻は恋人が雄弁をふる....
「活人形」より 著者:泉鏡花
の内に、下枝の泣く声聞く毎に我は腸を断つばかりなりし。 数うれば三年|前、一日
黄昏の暗紛れ、潜かに下枝に密会い、様子を聞けば得三は、四十を越したる年にも恥じず....