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黄楊
「黄楊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黄楊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
の生計を励んでいる。だから「諸国|銘葉《めいよう》」の柿色の暖簾《のれん》、「本
黄楊《ほんつげ》」の黄いろい櫛形《くしがた》の招牌《かんばん》、「駕籠《かご》」....
「少女病」より 著者:田山花袋
婦が口の中で言った。 その植木屋も新建ちの一軒家で、売り物のひょろ松やら樫やら
黄楊やら八ツ手やらがその周囲にだらしなく植え付けられてあるが、その向こうには千駄....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
艶めかしくパッと捲くりあげられたままであり、下の抽斗が半ば引き出されて、その前に
黄楊櫛が一本投げ出されているではございませんか。思わず立ち上がった私は、鏡台の前....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
の都大路に入った。わが家の玄関へ帰ったのは春のたそがれ近くである。花に匂いもない
黄楊の枝が触れている呼鈴を力なく押す。 老婢が出て来て桟の多い硝子戸を開けた。....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
りよせてみると、鈎のさきに引っかゝっているのは女の櫛でした。ありふれた三日月型の
黄楊の櫛ですが、水のなかに漬かっていたにも似合わず、油で気味の悪い程にねば/\し....
「家」より 著者:島崎藤村
。箪笥の上には、家のものがかわるがわる行く姿見がある。彼女はその前に立った。細い
黄楊の鬢掻を両方の耳の上に差した。濡れて乱れたような髪が、その鏡に映った。 「叔....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
られてある。石榴の花が火の燃えるように赤く咲いているのが誰の眼にもついた。木には
黄楊、椎、檜、花には石竹、朝顔、遊蝶花、萩、女郎花などがあった。寺の林には蝉が鳴....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
たことを、私はよく覚えている。むろんその運動場は家の背後にあったのだ。前面には、
黄楊やその他の灌木類を植えた小さな花壇があった。しかし、この神聖な区画は、私たち....
「蟹の怪」より 著者:田中貢太郎
、櫛がある」 人びとはその男の指さす方に眼をやった。其処には水に落ちたばかりの
黄楊の櫛があった。 「なるほど櫛じゃ」 「何人か見覚えはないか」 すると壮い男....
「貧乏」より 著者:幸田露伴
片付け鉄瓶に湯も沸らせ、火鉢も拭いてしまいたる女房おとま、片膝立てながら疎い歯の
黄楊の櫛で邪見に頸足のそそけを掻き憮でている。両袖まくれてさすがに肉付の悪からぬ....
「或る部落の五つの話」より 著者:佐左木俊郎
には三本の榎と二本の鼠梨の大木が若い杉杜の中に伐り残されていた。前には榊や椿や山
黄楊などが植えられてあった。鳥より他には声を立てるもののないような、その寂寥とし....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
一条弥平、一色鬼童、これは琢磨流の忍術家であった。 茣座小次郎、伊賀三郎、
黄楊四郎の三人は、甲賀流忍術の達人であった。 敷島松兵衛、運運八、この二人は八....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
いう、ごく歯の細かい櫛を使うので、それがあるかと聞きましたが、ありませんかった。
黄楊の木で造った品ばかりを商う、暗くて古風な店でした。 広小路へ出て右へ曲った....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
商人から頼まれ、興福寺の宝物の華原磬(鋳物で四|疋の竜が絡んだもの)というものを
黄楊で縮写したのを見ましたが、精巧驚くべきものでした。これも三年掛かったと本人が....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
蒼たる竹藪に沿うて石礫だらけの坂道を登って行くと、石垣を畳んだ大きな土手の上には
黄楊の垣根が竹藪と並行に小一町ばかりも続いているのです。そして広々とした石段の向....