» 黄粉

「黄粉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黄粉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
とに激しい南風が吹いて、東京の市街はほこりまぶれになって、空も、家屋も、樹木も、黄粉《きなこ》でまぶしたようになったあげく、気持ち悪く蒸し蒸しと膚を汗ばませるよ....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の天水桶を志して、環海ビルジングを上りつつある、つぶし餡のお妻が、さてもその後、黄粉か、胡麻か、いろが出来て、日光へ駆落ちした。およそ、獅子大じんに牡丹餅をくわ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
のは、不思議の花であった。形は貝母に似て、暗緑帯紫の色、一つは咲いて花弁が六つ、黄粉を包んだ蘂が六つ、莟が一つ。 数年の後、いずこにも籍を置かぬ一|艘の冒険船....
廿九日の牡丹餅」より 著者:岡本綺堂
残暑が長く、殊に閏の七月は残暑が例外に強い。その暑気をふせぐには、七月二十九日に黄粉の牡丹餅をこしらえて食うがよい。しかしそれを他家へ配ってはならない、家内親類....
外米と農民」より 著者:黒島伝治
加えてみた。 平麦のかわりに丸麦を二度たきとして、ねりつぶしてねばりをつけた。黄粉をまぶして食ってみた。 数えているとまだあるだろうが、いろ/\な食べ方が一....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
めてありました。柔いからお祖母様も召上れ。」 「有難う。だがこれはお国のと違って黄粉がわるいね。」 またお祖母様のお国自慢と皆笑いました。お兄様はやっと思い出....
私の母」より 著者:堺利彦
る、よいおばさんであった。この人が大阪から私の父によこした手紙が残っているが、「黄粉が食いとうても臼がのうてひけぬ、今度来るなら臼を持って来ておくれ、うんちんは....
次郎物語」より 著者:下村湖人
引かれて、やっと板の間に上った。 お祖母さんは、それから、大急ぎで、次郎のため黄粉餅を作った。そして、いつになく不機嫌な顔をして、土間の男衆に言った。 「誰か....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
子窓をしめて、座敷の南縁に立って居ると、ぽつりと一つ大きな白い粒が落ちて、乾いて黄粉の様になった土にころりところんだ。 「来たぞ、来たぞ」 四十五歳の髯男、小....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
竪つ思いがした。 山野を跋渉する時にはいつも弁当を携えて行ったものだが、それは黄粉をまぶした握り飯であった。服装は学校へ行くと同様の袴を穿き、大小を帯びていた....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
知ってみると、「繊々たる初月」というのも自然の夕空の新月のことではなくして、その黄粉を粧うた美人の額の上に描かれた眉の形容であることを知るに及んで、漫然たる最初....
丹下左膳」より 著者:林不忘
あナ、まあ聞きねえってことよ。金竜山《きんりゅうざん》浅草寺《せんそうじ》名代の黄粉《きなこ》餅、伝法院大|榎《えのき》下の桔梗屋安兵衛《ききょうややすべえ》て....
道標」より 著者:宮本百合子
ものの……」 そう云うものの、素子は時間が来ると、案外面倒くさがらずよく似合う黄粉《きなこ》色のスーツに白絹のブラウスに着換えた。 「ぶこちゃん、なにきてゆく....
伸子」より 著者:宮本百合子
地肌を荒されたので、乾きようがひどかった。雨に打たれることのない庇の下など、土は黄粉《きなこ》のようにポクポクであった。いくらでも水を吸った。さっさと如露を動か....
食道楽」より 著者:村井弦斎
おろ》しを喫すると忽《たちま》ち胸がすくのもその訳だ。心太《ところてん》を食べて黄粉《きなこ》を舐《な》めると心太が溶けてしまうし、牛肉を食べた後にパインナプル....