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「黄緑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

黄緑の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
出帆」より 著者:芥川竜之介
に、この間の水なるものが、非常にきたない。わらくずやペンキ塗りの木の片《きれ》が黄緑色に濁った水面を、一面におおっている。どうも、昔、森さんの「桟橋《さんばし》....
冬の日」より 著者:梶井基次郎
だ。落葉が降り留っている井戸端の漆喰《しっくい》へ、洗面のとき吐く痰《たん》は、黄緑色からにぶい血の色を出すようになり、時にそれは驚くほど鮮かな紅《くれない》に....
富士」より 著者:岡本かの子
くまわりに一ぱい痰《たん》が吐き捨ててあった。その痰の斑には濃い緑色のところと、黄緑色のところと、粘り白いところとある。淡く白いのは唾らしく無数の泡を浮べていた....
新生」より 著者:島崎藤村
るような下の甲板に降りた。そこにも一人二人の仏蘭西人の客しか見えなかった。明るい黄緑な色の海は後方《うしろ》にして出て来た故国の春の方へ岸本の心を誘った。彼は上....
刺繍」より 著者:島崎藤村
―」 と彼女の名を口中で呼んで見て、半町ほども行ってから、振返って見た。明るい黄緑《きみどり》の花を垂れた柳並木を通して、電車通の向側へ渡って行く二人の女連の....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のですよ。すると勿論、色彩から光度の方に、本質が移ってしまいます。ですから、黄や黄緑のような比較的光度の高い色や、対比現象で固有のもの以上の光度を得ている色彩は....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
らけの足を投出して、あおのけさまに寝ている働き労れたらしい男があった。青麦の穂は黄緑に熟しかけていて、大根の花の白く咲き乱れたのも見える。私は石垣や草土手の間を....
」より 著者:島崎藤村
たポカポカする季節に成った。三吉が家から二つばかり横町を隔てた河岸のところには、黄緑な柳の花が垂下った。石垣の下は、荷舟なぞの碇泊する河口で、濁った黒ずんだ水が....
病室の花」より 著者:寺田寅彦
えた。まっすぐに長い茎のまわりに規則正しい間隔をおいて輪生した緑の葉がだんだんに黄緑色に変わって来るのであった。水をやりすぎるためではないかと思われたから看護婦....
わが五月」より 著者:宮本百合子
し、快晴の午後二時頃人声もしないその小道を行くと、何と云おう――様々な緑、紅緑、黄緑、碧緑、優しい銀緑色の清純な馨《かん》ばしさ、重さ、燦めきが堆団《マス》とな....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
人 赤人作で前歌と同時の作である。「久木」は即ち歴木、楸樹で赤目柏である。夏、黄緑の花が咲く。一首の意は、夜が更けわたると楸樹の立ちしげっている、景色よい芳野....
追憶」より 著者:宮本百合子
い林のある処を見た事がない。 今立って居る処から四方へ延び拡がって居る草原は、黄緑色にはてしなく続いて、遠い向うには海の様な空の中に草の頭がそろってしなやかに....
三国志」より 著者:吉川英治
折々、喊声は天をふるわし、鎗刀の光は日にかがやいて白い。どよめく度に、白紅の旗や黄緑の旆は嵐のように揺れに揺れている。 物見を連れたひとりの将が馳けあがってき....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
から下の裾まで、叢生した虎杖の早くも虫がついて黄ばみかけた葉の間には、今まさに淡黄緑の花盛りであった。それに丈の高い女郎花に似た黄色い草花の目ざましさは。私はま....