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黄葉
「黄葉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黄葉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
その中に掌《たなごころ》をうって談笑する二人の男を立たせている。林間に散っている
黄葉《こうよう》と、林梢《りんしょう》に群がっている乱鴉《らんあ》と、――画面の....
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
うっと下の谷底を流れているので幅がやっと五、六尺に見える。川をはさんだ山は紅葉と
黄葉とにすきまなくおおわれて、その間をほとんど純粋に近い藍色《あいいろ》の水が白....
「星座」より 著者:有島武郎
植えた落葉松《からまつ》が驚くほど育ち上がって立っていた。鉄鎖《てつさ》のように
黄葉したその葉が月の光でよく見えた。二本は無事に育っていたが、一本は雪にでも折れ....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
煙地を這《は》い月光林に砕く」
同十九日――「天晴れ、風清く、露冷やかなり。満目
黄葉の中緑樹を雑《まじ》ゆ。小鳥|梢《こずえ》に囀《てん》ず。一路人影なし。独り....
「新生」より 著者:島崎藤村
鐘の音は樹木の多い町はずれの空を通して、静な煙の立登る赤瓦の屋根の間へも伝わり、
黄葉の萎《しお》れ落ちた畠《はたけ》へも伝わって来た。バビロン新道の宿でもその日....
「河口湖」より 著者:伊藤左千夫
た木立ちのなかに、古い寺と古い神社とが地つづきに立っている。木立ちはいまさかんに
黄葉しているが、落ち葉も庭をうずめている。右手な神社のまた右手の一角にまっ黒い大....
「黄金の枕」より 著者:田中貢太郎
気もちで、平気な顔をしてのそのそと歩いた。 ちいさな野川の土橋を渡って、雑木の
黄葉した台地の裾について曲って往くと、庁館がまえの大きな建物が見えてきた。 「や....
「死者の書」より 著者:折口信夫
果した。その後は、千部手写の発願をした。冬は春になり、夏山と繁った春日山も、既に
黄葉して、其がもう散りはじめた。蟋蟀は、昼も苑一面に鳴くようになった。佐保川の水....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
こで若し榛原は萩原で、其頃萩の花が既に過ぎてしまったとすると、萩の花でなくて萩の
黄葉であるのかも知れない。(土屋文明氏も、萩の花ならそれでもよいが、榛の
黄葉、乃....
「白い花赤い茎」より 著者:田中貢太郎
月の光に透して歩いた。 三町ばかりものぼったところで、随いて来た小径が尽きて、
黄葉した雑木の茂りに突き当った。寡婦の心は周章てて来た。彼女は五六歩引返して、別....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
ると、たちまち倒れて塵になる。そういう陰惨な夢と、その夢から覚めて見る窓外の紅葉
黄葉の疎林と美しく昇る朝暾とは、対照の妙を得て効果的である。 第四章 準備 そ....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
せた。十月一日に一山|挙って島々へ下りた。徳本峠の山ふところを埋めていた桂の木の
黄葉の立派さは忘れ難い。彼女もよくそれを思い出して語った。 それ以来私の両親は....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
いる。秋の色としては、富士の裾野に、または今度の旅でも鰍沢の近くで、その淋しげな
黄葉を床しいと思った。しかし私が、今眼前に見るような、こんな鮮かな色があろうとは....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
より屈曲せる河流を下りてシドニーに着す。両岸の風光自然に秋色を帯び、林間の瓦壁、
黄葉と相映ずるところ、大いに吟賞するに足る。 一帯清流曲幾回、千涯秋影入異、
黄葉....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
る。これは今度の震災にも幸と無事に焼残った。今ごろは丹塗の堂の前にも明るい銀杏の
黄葉の中に相変らず鳩が何十羽も大まわりに輪を描いていることであろう。第二に僕の思....