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黄金虫
「黄金虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
黄金虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カルメン」より 著者:芥川竜之介
それを飲んじゃ。」
僕はT君に注意した。薄い光のさしたグラスの中にはまだ小さい
黄金虫《こがねむし》が一匹、仰向《あおむ》けになってもがいていた。T君は白葡萄酒....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
をかけながら、執拗《しゅうね》い夜に攻められて、心細い光を放っている。と、小さな
黄金虫《こがねむし》が一匹ぶうんと音を立てて、飛んで来て、その光の輪にはいったか....
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
《かさ》となって街燈のぐるりに集まっていた。固い音が時どきするのは突き当っていく
黄金虫《ぶんぶん》の音でもあるらしかった。 そこは入り込んだ町で、昼間でも人通....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
い樹立の中には、黄斑《きわだ》を打《ぶ》ちまけたような光が明滅を始めた。すると、
黄金虫や団子蜂などが一団と化して、兇暴な唸り声を立て、この樹林の中に侵入してきた....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
といいながら、女は帯も解かずに小倉の寝床へはいって来た。そして床のすみに小さく
黄金虫《こがねむし》のように固まりながら、 「私たちはね、ほんとに心から『愛そう....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
した。「あの虫はどこからどこまで、羽根だきゃあ別だが、外も中もすっかり、ほんとの
黄金虫でさ。――生れてからあんな重てえ虫は持ったことがねえ」 「なるほど。として....
「一九二七年八月より」より 著者:宮本百合子
ればなる程、大きな疑問と面接する自己を感じて苦しむ。 八月一日 夜、
黄金虫が障子にとまった。 朱と金の漆塗と、印殿《インデン》草で出来た虫だ。翼....
「ゴルフ随行記」より 著者:寺田寅彦
運動の敏活さを修練するに有効かもしれない。家畜の糞を丸めてボールを作り転がし歩く
黄金虫がある。あれは生活の資料を運搬する労働ではあろうがとにかく人間から見ると一....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
りつけた。彼は手向かいしようとしたが、その力がなかった。するともう身動きもせず、
黄金虫《こがねむし》のように仰向けにひっくり返って、痩《や》せた両腕をアントアネ....
「「二銭銅貨」を読む」より 著者:小酒井不木
にしてもこの作は近来の傑作である。暗号を中心とした推理小説といえば、先ずポオの「
黄金虫」、ドイルの「舞踏人形」、ルブランの「うつろの針」、それからカロリン・ウエ....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
らほしくも何ともなかった財産なのだから、それにいま、磯五という銀蠅《ぎんばえ》か
黄金虫《こがねむし》のような男がくっついてきて、それと争わなければならないような....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
よたけ いいから、云いなさい! こがねまる おら、……いつだったか、お薬鑵の中に
黄金虫を一杯つめ込んで、……お湯をかけて、焚火で沸かして、……「煎じ薬」だよって....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
虫、蚯蚓、栗の虫、蜻蛉、虻、蝶、蜘蛛、芋虫、白樺の虫、鱒の卵、鮭の卵、川|百足、
黄金虫、蟹などで、何でも食う。 道糸を流れの落ち込みや、瀬脇へ振り込んで下流へ....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
はない。草花の雌蘂には咽せかえる程の香りがあり、花弁にはルビーのような露が溜り、
黄金虫は囁くような恋の唸りや、訴えるような羽音をさせて、花から花、梢から梢へと飛....